50歳代患者における外科矯正の経験
今回われわれは, 顎変形症患者としては比較的まれな高年齢な51歳の男女二例に対し, 外科矯正術を施行し, 良好な結果が得られたので患者背景を中心にその概要を報告する. 症例1:51歳, 女性. アングル3級の診断にて, 下顎枝矢状分割術を施行し, 下顎骨右側で15mm, 左側で13mmの後方移動を行った. 骨接合部はミニプレートで固定し, 顎間固定は3週間行った. 術後経過は, 下口唇知覚鈍麻が出現したのみでその他合併症等なく良好な治癒経過を経た. 症例2:51歳, 男性. アングル3級の診断にて, 患者の事情により術前矯正せず, 下顎枝矢状分割術を施行した. 下顎骨左右側とも10mm後方移動...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 141 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
15.08.1998
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ISSN | 0916-7048 |
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Summary: | 今回われわれは, 顎変形症患者としては比較的まれな高年齢な51歳の男女二例に対し, 外科矯正術を施行し, 良好な結果が得られたので患者背景を中心にその概要を報告する. 症例1:51歳, 女性. アングル3級の診断にて, 下顎枝矢状分割術を施行し, 下顎骨右側で15mm, 左側で13mmの後方移動を行った. 骨接合部はミニプレートで固定し, 顎間固定は3週間行った. 術後経過は, 下口唇知覚鈍麻が出現したのみでその他合併症等なく良好な治癒経過を経た. 症例2:51歳, 男性. アングル3級の診断にて, 患者の事情により術前矯正せず, 下顎枝矢状分割術を施行した. 下顎骨左右側とも10mm後方移動を行い, 骨接合部の固定は囲繞結紮を行い, 顎間固定は3週間行った. 術後経過は, 下口唇知覚鈍麻の出現, また左側の創離開を認めた為, 再縫合処置を行い, その後良好な治癒経過を経た. 症例1, 2ともに小学生時より下顎前突で悩み, 症例1は一度歯列矯正治療を受けるも苦しくてすぐに治療を拒否したとのこと. 病悩内容は, 症例1は咀嚼障害, 顔貌に対する不満, 症例2は咀嚼障害, 発音障害とのことであった. 術後二例とも大きな合併症もなく, 患者自身の満足度は極めて高かったことより, 高年齢者に対しても外科矯正は意義ある治療法と考えたい. 質問 横浜総合病院, 歯口外 小早川元博 50歳代の患者に対する術前矯正は, 歯周組織や歯根に対する影響に問題ありませんでしょうか. 回答 清水市立病院, 口外 佐藤豊彦 手術を施行したことにより, 術前よりも口腔衛生管理が容易となり, 現在のところ, 病的歯周疾患は認めていません. 軽度歯根吸収認めるも, 10歳, 20歳代患者と比較し特に変わりはなく, 年齢に起因するような合併症は認めず, また術後患者の満足度の方が, 合併症よりも勝っていた. |
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ISSN: | 0916-7048 |