手掌多汗症に対する胸腔鏡下胸部交感神経節切除術の自験例と検討
手掌多汗症は, 職業生活及び学業生活を営む上で支障を来し, 患者本人の日常における苦悩は深刻なものである. 近年, 本症に対し低侵襲である胸腔鏡下胸部交感神経節切除術が行われるようになってきた. 我々も本術式を行ったので, 自験例を元にその有用性と問題点について検討し報告する. 〔対象〕対象は男7例・女1例の8例である(年齢14~31歳). 我々は全身麻酔下で, 途中体位変換を加えた左右側臥位からのthree puncture methodでアプローチし, Th2とTh3の交感神経節(第2肋骨下縁より第4肋骨上縁まで)を切除している. 〔結果〕術後の胸腔ドレーン留置期間は1~2日で, 創痛はほ...
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Published in | 気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 302 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
25.04.1998
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ISSN | 0287-2137 |
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Summary: | 手掌多汗症は, 職業生活及び学業生活を営む上で支障を来し, 患者本人の日常における苦悩は深刻なものである. 近年, 本症に対し低侵襲である胸腔鏡下胸部交感神経節切除術が行われるようになってきた. 我々も本術式を行ったので, 自験例を元にその有用性と問題点について検討し報告する. 〔対象〕対象は男7例・女1例の8例である(年齢14~31歳). 我々は全身麻酔下で, 途中体位変換を加えた左右側臥位からのthree puncture methodでアプローチし, Th2とTh3の交感神経節(第2肋骨下縁より第4肋骨上縁まで)を切除している. 〔結果〕術後の胸腔ドレーン留置期間は1~2日で, 創痛はほとんどなく, 術後4~5日で退院している. 手掌における発汗低下は全例で術当日より確認できた. 術後合併症としては, ホルネル症候群及び術後出血はなかったが, 6例(75%)で体幹などに代償性発汗が認められた. 術後アンケートでは8例中7例が満足していた. 〔結語〕手掌多汗症に対して, 本術式の治療効果は確実にみられ, その有用性は明らかであった. しかし, 代償性発汗の合併が高率にみられ, 術前における十分なインフォームドコンセントが大切と考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 |