甲状腺機能亢進症が原因と思われるlow output syndromeにより急性心不全を呈した一例

【症例】27歳, 女性. 【主訴】呼吸困難, 全身倦怠感. 数年前より甲状腺の腫大を指摘されていたが放置していた. 平成12年6月になり全身倦怠感が出現数日して呼吸困難も出現したため当科受診. 受診時意識清明. 体温36.6℃. 血圧110/80mmHg. 脈拍78/分, 整. 眼球突出と甲状腺腫大を認め, 四肢, 顔面に著明な浮腫あり. 両肺野に湿性ラ音を聴取. 胸部X-Pにて両側胸水貯留, CTR85%. 心エコー上両心室ともに拡張し壁運動の著明なびまん性低下を認め, EF38%. 重篤な急性心不全に対し, フロセミド, カルペリチドおよびミルリノンの経静脈投与を開始したところ, 自覚症状...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 1; pp. 75 - 76
Main Authors 町田崇, 水間春夫, 川上武, 松井正之, 山崎勇一, 樋口達也, 長坂一三, 富岡眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2001
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826

Cover

More Information
Summary:【症例】27歳, 女性. 【主訴】呼吸困難, 全身倦怠感. 数年前より甲状腺の腫大を指摘されていたが放置していた. 平成12年6月になり全身倦怠感が出現数日して呼吸困難も出現したため当科受診. 受診時意識清明. 体温36.6℃. 血圧110/80mmHg. 脈拍78/分, 整. 眼球突出と甲状腺腫大を認め, 四肢, 顔面に著明な浮腫あり. 両肺野に湿性ラ音を聴取. 胸部X-Pにて両側胸水貯留, CTR85%. 心エコー上両心室ともに拡張し壁運動の著明なびまん性低下を認め, EF38%. 重篤な急性心不全に対し, フロセミド, カルペリチドおよびミルリノンの経静脈投与を開始したところ, 自覚症状および各種検査所見は数日にて改善した. 甲状腺検査成績はTSH 0.01μU/ml以下, FT3 14.16ng/ml, FT4 5.45μg/dl, ヨード摂取率80%と著しい甲状腺機能亢進状態であり, TSAb 692%(基準値180以下), 1231シンチで甲状腺にびまん性集積を認めたことから, Graves病によるthyrotoxicosisが急性心不全の原因と考えられた.
ISSN:1343-2826