院内で発生した腓骨神経麻痺について

「目的」我々はリハビリテーションを担当する立場から, 入院中に原疾患とは無関係に, 副次的に腓骨神経麻痺を起こした患者を対象に疫学的調査を行い, 予防医学的見地から本麻痺を防止するうえでの留意点について検討・考察したので報告する. 「対象および方法」1997年3月までの過去9年間に, 当院にて依頼によりリハビリテーション科を受診した入院患者のうち, 原疾患とは無関係に, 副次的に腓骨神経麻痺を起こした43名の患者に対しその発生状況, 原因, 肥満度との関係について調査するとともに当院看護婦の本麻痺に関する知識についてアンケート調査を行った. 「結果」診療科別の発生件数は外科系に多く全体の約80...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 909
Main Authors 西野誠一, 冬木寛義, 今給黎篤弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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Summary:「目的」我々はリハビリテーションを担当する立場から, 入院中に原疾患とは無関係に, 副次的に腓骨神経麻痺を起こした患者を対象に疫学的調査を行い, 予防医学的見地から本麻痺を防止するうえでの留意点について検討・考察したので報告する. 「対象および方法」1997年3月までの過去9年間に, 当院にて依頼によりリハビリテーション科を受診した入院患者のうち, 原疾患とは無関係に, 副次的に腓骨神経麻痺を起こした43名の患者に対しその発生状況, 原因, 肥満度との関係について調査するとともに当院看護婦の本麻痺に関する知識についてアンケート調査を行った. 「結果」診療科別の発生件数は外科系に多く全体の約80%を占め, そのなかでも整形外科が最も多かった. その原因としてはギプスや架台による圧迫よりも, 病棟や手術室における不適切な肢位やその管理に問題があるものが多い. 肥満度を調査した結果からはやはり痩身気味の患者に本麻痺の発症が多かった. 看護婦の本麻痺に関する知識は整形外科病棟以外では十分熟知しているとはいえない. 「考察」本症は可抗力的障害であり, その原因は単にその知識不足だけではなく, 医療現場におけるスタッフ相互間の連携不足にあると考えられる. 我々リハビリテーション担当者は本麻痺を含め, 可抗力的障害に関する卒前卒後教育を一層徹底させ, 診療面においても主導的に啓蒙し続ける必要があるだろう.
ISSN:0034-351X