臭気センサーによる複合臭気の評価手法の検討 (III) 悪臭現場などでの連続測定結果の評価と問題点について

金属酸化物半導体式臭気センサーXP-329Sを用いて, ステンレス製の臭気試験室内で経時的に濃度変化する臭気を測定したとき, および実際の悪臭現場に当該臭気センサーを一週間程度設置して連続測定したときの, 臭気センサー指示値と臭気物質濃度との関係や, 臭気センサーの応答特性などについて検討した。 その結果, 臭気センサーに対して定期的な感度の確認と正確なゼロ調整を行えば, クラフトパルプ (KP) 工場やし尿処理施設での試験結果から, そこで測定される臭気物質の濃度から臭気センサー指示値を予測することが可能であることを認めた。また, 臭気物質の成分組成が一定しているKP工場においては, そのセ...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 34; no. 4; pp. 289 - 298
Main Authors 房家, 正博, 雨谷, 敬史, 松下, 秀鶴, 相馬, 光之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 大気環境学会 10.07.1999
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Summary:金属酸化物半導体式臭気センサーXP-329Sを用いて, ステンレス製の臭気試験室内で経時的に濃度変化する臭気を測定したとき, および実際の悪臭現場に当該臭気センサーを一週間程度設置して連続測定したときの, 臭気センサー指示値と臭気物質濃度との関係や, 臭気センサーの応答特性などについて検討した。 その結果, 臭気センサーに対して定期的な感度の確認と正確なゼロ調整を行えば, クラフトパルプ (KP) 工場やし尿処理施設での試験結果から, そこで測定される臭気物質の濃度から臭気センサー指示値を予測することが可能であることを認めた。また, 臭気物質の成分組成が一定しているKP工場においては, そのセンサー指示値から臭気物質濃度を予測することが可能であることを認めた。また, 臭気試験室での試験結果では, 空気清浄機の脱臭フィルターにより生成された二次生成物の存在を臭気センサー指示値と機器分析結果によって実証することができた。このことは, 物質濃度測定を行った成分以外の物質の存在を, 臭気センサーを用いて推察できることを示している。 更に, センサー感度の経時変化を検討した結果では, 臭気センサー指示値の応答曲線を平行移動したような「ずれ」と高濃度領域での感度の低下とが観察された。高濃度領域での感度の低下は脱着しにくい物質等によるセンサーの被毒によるもの, 応答曲線の「ずれ」はゼロレベルの設定が不十分だったために生じたものと考えられた。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki1995.34.4_289