献血者における尿酸(UA)濃度測定の意義

目的:現状の血液センターの検査項目では成人病の予防, 早期発見は期待できないため, 我々はUAを成人病予防のための新項目として導入できるか検討を行った. 方法:国際試薬製「UA試薬・A」キットを用いて日立7250により測定した. 対象は, 1992年4月6日-9日の献血者1,665名である. UAの同時再現性, 日内・日差再現性, 直線性, 共存物質の影響, 食事の影響, 検体の安定性を調べた. またX+2SD以上の高値を示した献血者にはアンケート調査を行った. 成績:直線性は約56mg/dlまで認められた. 同時再現性は, モニトロールIX, IIX, 及びプール血清のCVがそれぞれ0.04...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 3; p. 679
Main Authors 三原佳子, 森鉄男, 栗林導子, 斉藤美香, 徳永和夫, 清川博之, 前田義章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.07.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:現状の血液センターの検査項目では成人病の予防, 早期発見は期待できないため, 我々はUAを成人病予防のための新項目として導入できるか検討を行った. 方法:国際試薬製「UA試薬・A」キットを用いて日立7250により測定した. 対象は, 1992年4月6日-9日の献血者1,665名である. UAの同時再現性, 日内・日差再現性, 直線性, 共存物質の影響, 食事の影響, 検体の安定性を調べた. またX+2SD以上の高値を示した献血者にはアンケート調査を行った. 成績:直線性は約56mg/dlまで認められた. 同時再現性は, モニトロールIX, IIX, 及びプール血清のCVがそれぞれ0.04, 0.48, 0.00であった. 日内再現性は, EXA normal, EXA abnormalのCVがそれぞれ0.83-1.28, 0.48-0.76であった. 日差再現性は, EXA normal, EXA abnormalのCVがそれぞれ1.28, 0.87であった. 共存物質はBil含量が上昇するにつれUA値は下降傾向を示し, 溶血Hb含量と乳ビ含量が上昇するにつれUA値が上昇傾向を示した. 食事の影響は, 正常人3名の平均値を見ると食後30分から1時間経過時にわずかに増加する程度で, 全体として大きな影響はみられなかった. 安定性は採血後3日目以降に値が3%程上昇した. 平均値は男性が5.89mg/dl, 女性が4.15mg/dlで性差がみられた. アンケート結果は, UA高値者の男性の解答者の半数が痛風であった. 新検査を導入することについては反対意見はなかった. 結論:再現性, 直線性については良好な結果であった. 食事の影響はほとんどなくて献血者対象の検査としては導入しやすく, 共存物質も献血者を対象とする限り問題はないといえる. 安定性については, 通常, 検体は採血後2日目までには測定するため問題はない. 以上のことからUA濃度測定の導入は可能である. 注意する点は, 正常値は男女別に設定するという点である.
ISSN:0546-1448