林業労働者の蜂アレルギーに関する調査

林業労働者に蜂刺症による労働災害が発生していることから山形県内の民有林の林業・木材製造業に従事する労働者379名に蜂アレルギーに関する問診とアレルゲン特異IgE抗体検査を実施した. 蜂刺症の既往のある者は367名で被験者の96.8%を占めた. 蜂に刺された時期は最近2年以内が7割で, 月別では7~9月が84.6%を占めていた. 刺された部位は手, 指が53.7%で最も多く, 7割が複数ヶ所で, 症状は局所症状98.7%, 全身症状29.7%, ショック症状4.9%で, 29.4%が注射・点滴等の治療を受けていた. ショック症状は「顔が蒼白」が4.4%, 「失神」と「意識不明」が0.5%の出現率...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 43; no. 1; p. 15
Main Authors 菅原保, 安原鈴子, 鈴木康洋, 中屋重直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.2001
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Summary:林業労働者に蜂刺症による労働災害が発生していることから山形県内の民有林の林業・木材製造業に従事する労働者379名に蜂アレルギーに関する問診とアレルゲン特異IgE抗体検査を実施した. 蜂刺症の既往のある者は367名で被験者の96.8%を占めた. 蜂に刺された時期は最近2年以内が7割で, 月別では7~9月が84.6%を占めていた. 刺された部位は手, 指が53.7%で最も多く, 7割が複数ヶ所で, 症状は局所症状98.7%, 全身症状29.7%, ショック症状4.9%で, 29.4%が注射・点滴等の治療を受けていた. ショック症状は「顔が蒼白」が4.4%, 「失神」と「意識不明」が0.5%の出現率であった. RAST陽性者はスズメバチが70.8%, アシナガバチが74.1%で, 年代別では若年層で陰性の者が多く年齢が上がるに従い陽性者が増えていた. 林業労働者の蜂刺症に対して, 予防とショック症状発現時の対策が急務である.
ISSN:1341-0725
1349-533X