麻痺性内反尖足に対する腱移行にEndobuttonを使用した症例の検討
「目的」麻痺性内反尖足に対する腱移行の際, 長母趾屈筋腱や長趾屈筋腱は十分な長さがあるが, 後脛骨筋腱等では十分に遠位まで展開しても短くて固定に難渋することがある. 我々はそのような場合の固定にEndobuttonを使用したので, その成績について検討した. 「対象」症例は4例5側, 手術時年齢は23~60歳, 原疾患は脳血管障害2例, 外傷性坐骨神経麻痺1例, 頭部外傷後の四肢麻痺の両側使用例1例である. 手術は後脛骨筋腱の立方骨(または楔状骨)移行が3例, 両側例のみ前脛骨筋腱の立方骨移行で, それぞれアキレス腱, 足趾屈筋腱の延長等を追加した. 術後観察期間は平均14ヵ月である. 「結果...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 1116 - 1117 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.2000
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」麻痺性内反尖足に対する腱移行の際, 長母趾屈筋腱や長趾屈筋腱は十分な長さがあるが, 後脛骨筋腱等では十分に遠位まで展開しても短くて固定に難渋することがある. 我々はそのような場合の固定にEndobuttonを使用したので, その成績について検討した. 「対象」症例は4例5側, 手術時年齢は23~60歳, 原疾患は脳血管障害2例, 外傷性坐骨神経麻痺1例, 頭部外傷後の四肢麻痺の両側使用例1例である. 手術は後脛骨筋腱の立方骨(または楔状骨)移行が3例, 両側例のみ前脛骨筋腱の立方骨移行で, それぞれアキレス腱, 足趾屈筋腱の延長等を追加した. 術後観察期間は平均14ヵ月である. 「結果」車椅子移動や介助軽減のため手術した両側例を除き, 術前使用していた短下肢装具なしでの歩行が可能となった. 約10年間歩行していなかった両側例の片側では, 骨萎縮が強いためEndobuttonが立方骨をcuttingしたが, 矯正位はある程度保たれた. 「考察」Endobuttonは, Rosenbergにより前十字靱帯再建の大腿骨側固定用に開発されたチタン合金製のボタンで, 対側の皮質の上で回転することにより固定される. Endobuttonによる固定では, 腱が短くても可能, 術中の再固定が容易, 初期から強固な固定が得られる, 足底に皮切を必要としないなどの利点がある. 一方, 腱の固定長の決定や骨孔の作成にコツがいり, 対側軟部組織の余裕が少ないためflipする際に注意が必要であり, 足底側での軟部組織のインピンジがありうる. また高コストも無視できない. 骨委縮の非常に強い症例への使用は注意を要するが, 腱移行手術の際には準備しておくと便利である. |
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ISSN: | 0034-351X |