脳血管障害後片麻痺の廃用性骨萎縮の経時的変化
【はじめに】脳血管障害後の廃用性骨萎縮はよく知られているところであるが, 骨萎縮の進行度を知る目的で発症後の全身骨塩量を経時的に測定し検討した. 【対象と方法】対象は脳血管障害後の片麻痺患者25例(男性12例, 女性13例), 平均年齢は68.5歳. 骨塩量測定にはDEXA法(QDR-2000)を用い, 発症後3カ月以内に1回目の測定を行い, 以後3~6カ月毎に最長24カ月まで経時的に測定した. 【結果】(1)全身骨塩量では, 経過期間中の体重の増減にかかわらず, 男性で平均215 g, 女性で平均110 gの減少が認められた. (2)上下肢の骨塩量では, 麻痺側ではそれぞれ平均14.6 g,...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 32; no. 12; pp. 922 - 923 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1995
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【はじめに】脳血管障害後の廃用性骨萎縮はよく知られているところであるが, 骨萎縮の進行度を知る目的で発症後の全身骨塩量を経時的に測定し検討した. 【対象と方法】対象は脳血管障害後の片麻痺患者25例(男性12例, 女性13例), 平均年齢は68.5歳. 骨塩量測定にはDEXA法(QDR-2000)を用い, 発症後3カ月以内に1回目の測定を行い, 以後3~6カ月毎に最長24カ月まで経時的に測定した. 【結果】(1)全身骨塩量では, 経過期間中の体重の増減にかかわらず, 男性で平均215 g, 女性で平均110 gの減少が認められた. (2)上下肢の骨塩量では, 麻痺側ではそれぞれ平均14.6 g, 40.6 gの減少をみたのに対し, 非麻痺側上肢では6.5 gの増加を示し, 下肢では17.1 gの減少を示した. (3)麻痺側/非麻痺側における骨塩量比は, 上下肢ともに経時的に有意の減少が認められた. (4)上肢骨塩量の変化率(初回測定値に対する2回目以降の増減率)は, 麻痺側では経過とともに減少する傾向があり, 廃用手群では補助手群に比し有意に減少していたが, 非麻痺側では, 廃用手群, 補助手群にかかわらず増加していた. (5)下肢骨塩量の変化率では, 麻痺側, 非麻痺側とも経過とともに減少し, 歩行可能群, 介助群(訓練室レベルでの歩行可能群), 不能群の3群における比較では, 歩行可能群の非麻痺側においてのみ増加がみられた. 介助群と不能群の比較では麻痺側, 非麻痺側とも不能群において有意の減少を認めた. 【考察】脳血管障害後の骨塩量減少は発症後2年までの間に, 加齢因子が加味されるとはいえ100~200 gにものぼり, 廃用性骨萎縮の影響が予想以上に高いものと思われた. 骨塩量維持には, 非荷重骨である上肢では使用頻度や筋力の関与が考えられるのに対し, 荷重骨である下肢では歩行能力が重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0034-351X |