超音波照射による遺伝子導入法の口腔外科領域への応用

近年, 癌治療のために癌抑制遺伝子や抗癌剤を非ウィルスベクター法で導入する方法が検討されている. 現在, 我々の研究グループは超音波を用いた新たな遺伝子導入法を開発している. 今回, マーカー遺伝子を培養癌細胞へ導入し, 最も導入効率の良い条件を決定したので報告する. 実験に供した細胞はヒト由来の歯肉扁平上皮癌細胞(Ca9-22 cell)で, マーカー遺伝子としてβ-galactosidase発現プラスミドを使用した. 超音波発振装置は, ソニトロン2000(Richmar, Inc)を使用した. また, 遺伝子の導入効率を上げるため, 超音波造影剤であるマイクロバブルを併用した. 細胞懸濁...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 58; no. 4; p. 125
Main Authors 岩永賢二郎, 冨永和宏, 山本晃三, 助台美帆, 辻澤利行, 西原達次, 福田仁一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.08.2004
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ISSN0368-6833

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Summary:近年, 癌治療のために癌抑制遺伝子や抗癌剤を非ウィルスベクター法で導入する方法が検討されている. 現在, 我々の研究グループは超音波を用いた新たな遺伝子導入法を開発している. 今回, マーカー遺伝子を培養癌細胞へ導入し, 最も導入効率の良い条件を決定したので報告する. 実験に供した細胞はヒト由来の歯肉扁平上皮癌細胞(Ca9-22 cell)で, マーカー遺伝子としてβ-galactosidase発現プラスミドを使用した. 超音波発振装置は, ソニトロン2000(Richmar, Inc)を使用した. また, 遺伝子の導入効率を上げるため, 超音波造影剤であるマイクロバブルを併用した. 細胞懸濁液にDNAとマイクロバブルの混合液を加え, 超音波照射を行い24時間後, β-Gal染色により導入効率を比較検討した. 超音波の強度および至適細胞数を調べたところ, 細胞数1×10 6個に対し, 周波数1MHz, 強度2.0W/cm2, Duty比10%, マイクロバブルの濃度は2.5%で最大の効果が得られた. 今後は導入効率をさらに向上させ, in vivoの系で腫瘍抑制あるいは顎関節疾患治療へ応用する予定である.
ISSN:0368-6833