発達期運動障害における運動療法の効果とその実際
【目的】運動発達障害の多様化・重度化が進む現在, 行われている障害児・者療育における運動療法の実際を調査し, その評価と意義を検討した. 【方法】対象は東京小児療育病院・別府整肢園・北九州市立総合療育センター各外来・施設入所児・者で, 運動療法を定期的に行っている者662名を対象とした. そのうち機能分布では頸定までの重度障害が45%, 合併症では知能障害でIQ 40相当以下の者が30%を占めた. 半年間の機能変化から, 独立歩行, 起立動作などの課題が可能になるか, 運動持続の延長が明らかに認められた者, 向上はあるが課題通過に至らない者, 変化のない者, 増悪した者, の4群に分けた. 【...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; pp. 943 - 944 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1992
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 【目的】運動発達障害の多様化・重度化が進む現在, 行われている障害児・者療育における運動療法の実際を調査し, その評価と意義を検討した. 【方法】対象は東京小児療育病院・別府整肢園・北九州市立総合療育センター各外来・施設入所児・者で, 運動療法を定期的に行っている者662名を対象とした. そのうち機能分布では頸定までの重度障害が45%, 合併症では知能障害でIQ 40相当以下の者が30%を占めた. 半年間の機能変化から, 独立歩行, 起立動作などの課題が可能になるか, 運動持続の延長が明らかに認められた者, 向上はあるが課題通過に至らない者, 変化のない者, 増悪した者, の4群に分けた. 【結果】(1)訓練開始時期は5歳以下が81.0%. 一方, 18歳以上で訓練に参加した者が15名で, そのうち脳性麻痺が13名であった. (2)半年間の評価としては, やや改善・改善は約70%で, 増悪は20名, 不変は138名であった. (3)改善した項目は, 運動改善を伴った者がほとんどであった. その他筋力改善などである. (4)増悪した20例は, 約半分が進行性神経疾患や筋ジストロフィーであり, その他8名の年長脳性麻痺児が入っていた. (5)改善群は15歳以上でも半数以上にみられた. (6)IQ40以下の障害児の改善例は70.2%で, 知能障害が重くても運動療法による改善課題が多くみられた. 【結論】運動発達期には, 継続的に訓練と指導が求められると考えられた. <質疑応答> 高橋純(多摩療育園):改善がみられるのは軽度障害児に多く, 重度児は改善が少ないような傾向はないでしょうか. 鈴木康之:重症児では発達月齢的な変化は少ないが, 細かな運動の改善などの効果はみられ, 運動療法が有効であると思う. 発言 江口壽榮夫(座長):重度の障害児の訓練(運動療法)をいつまで続けたらよいのかが, 実際的にはむずかしい問題と思います. 鈴木康之:発達は25歳まで可能と思う. その年齢まで機能訓練が望まれる. 発言穐山富太郎(長崎大医療技術短大):重度身心障害児の義務教育終了後の在宅療育にあっては, 運動療法に加え, QOLを高めるための環境整備が必要であり, その1つとして私たちはグループホーム作りを検討している. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |