副神経ブロックによる痙性斜頸の治療経験

環軸椎回旋固定に痙性斜頸を生じた症例に局所麻酔薬による副神経ブロックを試みた. 【症例】52歳女性, 信用金庫勤務. 生来左利きであったが右利きに矯正. 【現病歴】1993年12月12日顧客まわりの最中に犬に みつかれそうになり受傷. 1994年3月4日斜頸を主訴に当科入院. 入院時頸部は左回旋を伴いながら右に側屈. クリソン牽引, halo-vest装着で症状軽減. 5月27日halo-vest除去, philadelphia型カラー装着. 7月16日カラー除去し某温泉病院に転院. 9月29日転院先の浴室で転倒した患者を助けようとして再発. 10月31日当科に再入院. 【経過】内服薬, 理学...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 8; pp. 568 - 569
Main Authors 室生祥, 黒柳律雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.08.1996
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Summary:環軸椎回旋固定に痙性斜頸を生じた症例に局所麻酔薬による副神経ブロックを試みた. 【症例】52歳女性, 信用金庫勤務. 生来左利きであったが右利きに矯正. 【現病歴】1993年12月12日顧客まわりの最中に犬に みつかれそうになり受傷. 1994年3月4日斜頸を主訴に当科入院. 入院時頸部は左回旋を伴いながら右に側屈. クリソン牽引, halo-vest装着で症状軽減. 5月27日halo-vest除去, philadelphia型カラー装着. 7月16日カラー除去し某温泉病院に転院. 9月29日転院先の浴室で転倒した患者を助けようとして再発. 10月31日当科に再入院. 【経過】内服薬, 理学療法で効果がなかったため, 1994年12月13日塩酸ブピバカインによる副神経ブロックを施行した. 施行直後より頭部を両手で支えることなく正面を向くことが可能となり, 週2回の頻度で5週, 約10回施行した. 10回施行後は全身調整運動中右肩の筋緊張低下を自覚, カラーなしで病棟内歩行可能となった. 10回施行後1カ月を経過しても効果は持続し, 4月8日頸椎カラー装着下に電車の利用が可能となり自宅退院となった. 【筋電図の変化】 安静座位:ブロック前みられた両側胸鎖乳突筋の著明な収縮はブロック後ほとんど消失. 結髪位:ブロック前は両側の胸鎖乳突筋, 僧帽筋の収縮が全体的に低下. ブロック後は両側胸鎖乳突筋が選択的に低下. 左右回旋:ブロック前にみられた拮抗筋である同側の胸鎖乳突筋の同時収縮はブロック後消失. 【本法の特徴】長所(1)1カ所の施注で胸鎖乳突筋と僧帽筋の異常筋緊張を同時に抑制できる. (2)非侵襲的で簡便であリベッドサイドで施行可能. (3)安価である. 短所(1)施注に疼痛を伴う. (2)薬効が6~8時間であり, 反復施注を要する.
ISSN:0034-351X