自家末梢血幹細胞採取における末梢血中CD34陽性細胞数モニタリングの意義

当輸血部では平成6年5月より, 末梢血幹細胞採取(PBSCH)を実施し, 平成8年7月から患者末血中CD34陽性細胞(CD34+)数の経時的モニタリング(CD34モニタリング)を行い, 採取時期を決定している. 現在までの症例について総括し, CD34モニタリングの意義につき考察する. 【対象と方法】平成10年12月までに37例114回の自家PBSCHを実施した. 年齢は6歳~66歳(中央値32歳). 体重は20~80kg(中央値52.5kg). 臨床診断は精巣腫瘍12例, 悪性リンパ腫11例, 慢性骨髄性白血病(CML)4例, 急性リンパ性白血病3例, その他7例. 採取にはAS104を用い...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 191
Main Authors 梶原道子, 佐藤梢, 澁谷純子, 吉田さやか, 石田裕子, 小松文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:当輸血部では平成6年5月より, 末梢血幹細胞採取(PBSCH)を実施し, 平成8年7月から患者末血中CD34陽性細胞(CD34+)数の経時的モニタリング(CD34モニタリング)を行い, 採取時期を決定している. 現在までの症例について総括し, CD34モニタリングの意義につき考察する. 【対象と方法】平成10年12月までに37例114回の自家PBSCHを実施した. 年齢は6歳~66歳(中央値32歳). 体重は20~80kg(中央値52.5kg). 臨床診断は精巣腫瘍12例, 悪性リンパ腫11例, 慢性骨髄性白血病(CML)4例, 急性リンパ性白血病3例, その他7例. 採取にはAS104を用い, 処理血液量は成人10L, 小児200m/kgとした. 採取幹細胞量の評価は, CD34+数と, コロニーアッセイで行った. 【結果】症例ごとの採取回数は2-8回であるが, 22例が2回で終了している. CML症例を除く33例103回で得られたCD34+数は0~52.2(中央値3.28)×10^6 /kg, CFU-GM数は0.02~4.76(中央値0.86)×10^5 /kgであった. CD34モニタリング導入前の採取CD34+数は0~23.3(中央値1.99)×10^6 kgであり, 一部に採取不良例が認められ, PBSCHを反復する必要があった. CD34モニタリングの上, PBSCHを実施したのは20例54回で, 採取日の末血中CD34+は6~918/μlであった. これらの症例では, 採取CD34+数は1.12~52.2(中央値3.43)×10^6 /kgで, 75.9%の採取で2×10^6 /kg以上のCD34+が得られた. 採取CD34+が2×10^6 /kgに満たないものが5例13回あったが, 末血中CD34は6-39/μlと少なく, 先行する化学療法の強度が弱いもの, 超大量化学療法の既往のあるものが含まれた. 一方, 末梢血CD34+が20/μl以上の症例に限ると, 83.3%で2×10^6/kg以上のCD34+が1回の採取で得られた. 以上の経験から, 2例でCD34+動員不良と考えPBSCHを見合わせた. 【考案】CD34モニタリングを導入することにより, 効率よいPBSCHが実施できるようになり, 患者・スタッフの負担を軽減できるようになった.
ISSN:0546-1448