非溶血性輸血副作用惹起患者血中の抗血漿タンパク質特異IgE抗体の検出

[目的]非溶血性輸血副作用のうち, 重篤なアナフィラキシーショックなどの症例では, 患者血中のIgE抗体の関与の可能性が考えられる. そこで, 副作用惹起患者血のスクリーニングを目的とし, 多数検体の検査に適すると思われるELISA法による抗血漿タンパク質IgE抗体の検出法を検討した. [方法]精製血漿タンパク質を抗原としてプレートに固相化し, 患者血清を添加, 反応後, ビオチン化抗IgE抗体, アビジンビオチン化Horseradish peroxidase複合体を用いて血漿タンパク質特異IgE抗体を検出した. 陽性および陰性コントロールとして, ヒトトロンビン製剤特異IgE抗体を有するヒト...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 133
Main Authors 嶋田英子, 島野佳恵, 黒澤みち子, 光永滋樹, 田所憲治, 十字猛夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:[目的]非溶血性輸血副作用のうち, 重篤なアナフィラキシーショックなどの症例では, 患者血中のIgE抗体の関与の可能性が考えられる. そこで, 副作用惹起患者血のスクリーニングを目的とし, 多数検体の検査に適すると思われるELISA法による抗血漿タンパク質IgE抗体の検出法を検討した. [方法]精製血漿タンパク質を抗原としてプレートに固相化し, 患者血清を添加, 反応後, ビオチン化抗IgE抗体, アビジンビオチン化Horseradish peroxidase複合体を用いて血漿タンパク質特異IgE抗体を検出した. 陽性および陰性コントロールとして, ヒトトロンビン製剤特異IgE抗体を有するヒト血清, IgE欠損ヒト血清および正常人血清を用いて, 反応条件, 増感法, 基質(発色法, ケミルミネッセンス)等を検討した. [結果]本ELISA法は至適条件下, 特異性, 検出感度は良好であった. また, 増感法は有用であること明らかとなった. 以上の方法を用いて副作用患者血清を試験的に測定したところ, アナフィラキシーショック1例で抗ハプトグロビンIgE抗体が検出され, 副作用へのI型アレルギーの寄与の可能性が示唆された. [考察]アレルギー性非溶血性輸血副作用を惹起した患者では, 血清総IgEが高値を示す率が正常人と比較して高いこと, 臨床症状が他のアレルギー反応と類似していることなどから, I型アレルギーの寄与の可能性が推定されていたが, 実際に抗体が同定された症例は殆どない. 本法は今後IgE抗体の検査を行うにあたり有用な方法であると思われた.
ISSN:0546-1448