骨量減少を基盤とする不安定型橈骨遠位端骨折の治療成績

「目的」骨量減少を基盤とする不安定型橈骨遠位端骨折に対し, 隣接関節の拘縮予防と解剖学的整復位の獲得を目的として骨移植, K鋼線による観血的整復固定と創外固定を併用した治療を行った. 「方法」対象は17例で, 全例で骨塩定量検査にて骨量減少を確認した. 年齢は平均69歳で, 経過観察期間は平均1年4ヵ月である. 術後早期からOTによる回内外, 隣接関節の自他動運動を行った. 創外固定は6週をめどに抜去し, 手関節の自他動運動を開始した. K鋼線は強固な骨癒合が得られてから抜釘した. 「結果」調査時隣接関節の拘縮はまったく認めず, 手関節平均可動域は背屈84°, 掌屈74°, 回外87°, 回内...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 982
Main Authors 重富充則, 伊原公一郎, 峯孝友, 河合伸也, 宮内順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」骨量減少を基盤とする不安定型橈骨遠位端骨折に対し, 隣接関節の拘縮予防と解剖学的整復位の獲得を目的として骨移植, K鋼線による観血的整復固定と創外固定を併用した治療を行った. 「方法」対象は17例で, 全例で骨塩定量検査にて骨量減少を確認した. 年齢は平均69歳で, 経過観察期間は平均1年4ヵ月である. 術後早期からOTによる回内外, 隣接関節の自他動運動を行った. 創外固定は6週をめどに抜去し, 手関節の自他動運動を開始した. K鋼線は強固な骨癒合が得られてから抜釘した. 「結果」調査時隣接関節の拘縮はまったく認めず, 手関節平均可動域は背屈84°, 掌屈74°, 回外87°, 回内88°, volar tilt 0~18°(平均7.8°), radial shortening 0~4mm(平均1.2mm), radial inclination 13~30°(平均20.9°)であった. 斉藤の評価基準で評価すると1例Goodであった以外はすべてExcellentであった. 合併症としては長母指伸筋腱断裂1例, RSD2例であった. 「考察」橈骨遠位端骨折の治療を検討するにあたっては, 骨量減少を基盤とするものとそうでないものに分けて考える必要がある. 前者には高齢者が多く, 骨圧壊による不安定性と同時に, 隣接関節を含めた可及的早期のリハビリテーションが必要という相反する問題点がある. このような症例に対し, 骨移植, K鋼線による観血的整復固定と創外固定を併用して解剖学的整復位の獲得, 隣接関節の拘縮予防および可及的早期の手関節のリハを図ったところ, 非常に良好な成績を得た. 「まとめ」骨量減少を基盤とする不安定型の橈骨遠位端骨折に対し, 骨移植, K鋼線による観血的整復固定と創外固定を併用する治療法は有用であった.
ISSN:0034-351X