当科におけるMEN1遺伝子異常の検討

多発性内分泌腺腫症(以下MEN)は, 1型, 2型とも原因遺伝子が同定された. 外科的にもその治療方針に遺伝子診断が重要である. 我々は, 上皮小体機能亢進症患者に内視鏡を用いて切除しているがその際MEN1症例は全腺同定が困難であり, 予め遺伝子異常を確認しておくことが重要となった. 今回我々はまれな本疾患を数多く経験し, 最近MEN1遺伝子異常の解析を行った症例につき報告する. 対象はMEN1症例中遺伝子解析を施行した8家系21名である. 方法は末梢血のgenomic DNAをもちい, MEN1遺伝子各exonをPCRにて増幅, direct sequenceにて解析した. 結果:MEN1遺...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 1; no. 2; p. 27
Main Authors 斎藤勝, 鈴木眞一, 福島俊彦, 阿美弘文, 竹之下誠一, 裴紀堯, 小杉眞司, 白濱秀也, 福井崇史, 木下盛敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 家族性腫瘍研究会 15.05.2001
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ISSN1346-1052

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Summary:多発性内分泌腺腫症(以下MEN)は, 1型, 2型とも原因遺伝子が同定された. 外科的にもその治療方針に遺伝子診断が重要である. 我々は, 上皮小体機能亢進症患者に内視鏡を用いて切除しているがその際MEN1症例は全腺同定が困難であり, 予め遺伝子異常を確認しておくことが重要となった. 今回我々はまれな本疾患を数多く経験し, 最近MEN1遺伝子異常の解析を行った症例につき報告する. 対象はMEN1症例中遺伝子解析を施行した8家系21名である. 方法は末梢血のgenomic DNAをもちい, MEN1遺伝子各exonをPCRにて増幅, direct sequenceにて解析した. 結果:MEN1遺伝子に異常が認められたのは11名である. 特に家系Mでは発端者を含め5例にMEN1異常を認め, いずれも上皮小体切除を当科で施行した. うち3名に過剰上皮小体腺をみとめ, 1例に縦隔内上皮小体腺腫例を認め, 4名にプロラクチノーマを合併しさらに家族性DMを合併する非常にまれな家系であった. また, 家系Sでは小児が発端者となった上皮小体機能亢進症および異所性単発性インスリノーマ症例というまれな症例であった. また家系Tではexon4におけるM228R(ATG→AGG)という新しいnovel mutationを認めた. 今後MEN1遺伝子解析データが事前にわかれば内視鏡手術をはじめ治療法の選択や早期発見に大きく寄与するものと思われた.
ISSN:1346-1052