一企業で施行されたBaum Testの評価に関する検討

平成4年・5年に行われた一企業の従業員健康教育の参加者に対して, 投映法の一つであるBaum Testを施行した. 今回, その内の男性37名について検討し結果を示し報告した. Baum Testで異常所見のみられた6名の内, 転勤者を除く5名についてその後の経過を示した. (1)精神分裂病様状態が疑われた者1名は, 1年後に精神衰弱で発病, 2年間の休職の後退職となっている. (2)鬱病状態が疑われた者2名の1人は, 半年後に鬱病で精神科入院し薬物療法にて軽快している. 他の1人は, 1年後飛び降り自殺にて死亡している. (3)適応障害が疑われた者2名は, その後体調不良で長期欠勤を操り返す...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 48
Main Authors 古井景, 渡邊美寿津, 赤松康弘, 渡辺丈眞, M.M.イスラム, 小林章雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.1998
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Summary:平成4年・5年に行われた一企業の従業員健康教育の参加者に対して, 投映法の一つであるBaum Testを施行した. 今回, その内の男性37名について検討し結果を示し報告した. Baum Testで異常所見のみられた6名の内, 転勤者を除く5名についてその後の経過を示した. (1)精神分裂病様状態が疑われた者1名は, 1年後に精神衰弱で発病, 2年間の休職の後退職となっている. (2)鬱病状態が疑われた者2名の1人は, 半年後に鬱病で精神科入院し薬物療法にて軽快している. 他の1人は, 1年後飛び降り自殺にて死亡している. (3)適応障害が疑われた者2名は, その後体調不良で長期欠勤を操り返す状態となっている. いずれも, その後の症状発現に至っていることから, Baum Testは, 企業のmental health(精神保健)に関わる一つの指標としても有用と考えられた. しかしながら, 検査結果が実際の対応に結びついたのは1例のみで, 結果の取り扱い方が今後の課題と考えられた.
ISSN:1341-0725
1349-533X