日常生活習慣の視点からみた歯磨き行動の意義について

生活習慣としてのブラッシングをプラークコントロールに発展させていくには, 学術的意味付けが必要である. 習慣としての歯磨き行動は, 口腔を清潔にすることと, 爽快感を得ることを主目的に行われているが, 身体の清潔と口腔の清潔と対比して検討した. 皮膚の最表層は重層扁平上皮からなる表皮で覆われ, それに付着した汚れは垢やフケとなるため, 入浴, 洗髪を行って清潔に保っている. 口腔内を組織学的にみてみると, 皮膚同様に重層扁平上皮からなる口腔粘膜, 歯槽粘膜, 歯肉と, 発生学的に同系統ながら再生機能を持たないエナメル質とからなっている. その上皮で覆われた部位では自浄作用が働くが, エナメル質...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 49; no. 1; p. 124
Main Authors 笠原香, 富田真弓, 近藤武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.01.1999
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Summary:生活習慣としてのブラッシングをプラークコントロールに発展させていくには, 学術的意味付けが必要である. 習慣としての歯磨き行動は, 口腔を清潔にすることと, 爽快感を得ることを主目的に行われているが, 身体の清潔と口腔の清潔と対比して検討した. 皮膚の最表層は重層扁平上皮からなる表皮で覆われ, それに付着した汚れは垢やフケとなるため, 入浴, 洗髪を行って清潔に保っている. 口腔内を組織学的にみてみると, 皮膚同様に重層扁平上皮からなる口腔粘膜, 歯槽粘膜, 歯肉と, 発生学的に同系統ながら再生機能を持たないエナメル質とからなっている. その上皮で覆われた部位では自浄作用が働くが, エナメル質表面や辺縁歯肉部に付着した歯垢は機械的に除去せざるをえない. 生活習慣としての口腔清潔を身体清潔の維持と同様に考えることで, 習慣としての歯磨き行動を正しく行うことの意義が容易に理解されると考えられた.
ISSN:0023-2831