移植前HBs抗体陽性でAPBSCT後にB型肝炎を発症した多発性骨髄腫の3例
近年, 検査精度の向上により輸血からのHBV感染は減少している. 一方同種移植後などにHBs抗原陰性患者がB型肝炎を発症したという報告が散見され, その際輸血との因果関係が問題となっている. 我々は, APBSCT後にHBs抗原が陽転化しB型肝炎を発症した3例を経験したので, その原因およびrisk factorについて検討した. 3例はいずれも多発性骨髄腫の症例で, 移植前HBs抗体陽性であった. 輸血血液の保存検体はすべてのHBV-DNAが陰性であり, 輸血検体のドナーの追跡調査によって, ドナーがwindow periodであった可能性も否定された. 以上より輸血からの再感染は否定的であ...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; p. 575 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.12.2000
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Summary: | 近年, 検査精度の向上により輸血からのHBV感染は減少している. 一方同種移植後などにHBs抗原陰性患者がB型肝炎を発症したという報告が散見され, その際輸血との因果関係が問題となっている. 我々は, APBSCT後にHBs抗原が陽転化しB型肝炎を発症した3例を経験したので, その原因およびrisk factorについて検討した. 3例はいずれも多発性骨髄腫の症例で, 移植前HBs抗体陽性であった. 輸血血液の保存検体はすべてのHBV-DNAが陰性であり, 輸血検体のドナーの追跡調査によって, ドナーがwindow periodであった可能性も否定された. 以上より輸血からの再感染は否定的であり, 潜伏していたHBVの再活性化が原因と考えられた. この3例をB型肝炎を発症しなかった移植前HBs抗体陽性例を対照として比較すると, 移植前のHBs抗体価が低い傾向にあり, 移植後のステロイドの使用量は有意に多かった. 移植前のHBc抗体価や移植後の輸血量には差がなかった. APBSCT前にHBs抗体が陽性であっても, 免疫能の低下によるHBVの再活性化によるB型肝炎の合併に留意する必要があると思われた. |
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ISSN: | 0546-1448 |