中手指節関節尺側偏位の三次元動作解析装置を用いた検討

【目的】慢性関節リウマチ患者に対する関節保護法, スプリントの必要性が言われているが, その効果について客観的評価は少ない. 今回われわれは関節保護法の一つである雑巾がけ動作について, 関節保護法およびスプリントの評価のため, 三次元動作解析の技法を用いて検討した. 【方法】対象は健常者10名. 計測は三次元動作解析装置(Oxford Metrics社製Vicon 370 system)とKISLER社製床反力計を用いた. 右手第3指近位指節関節・中手指節関節(MP関節)・中手骨近位部にマーカーを置きMP関節の外転角変化を計測した. 各被検者でMP関節尺側偏位防止用スプリントを装着, 非装着時...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; pp. 782 - 783
Main Authors 野々垣学, 根本明宣, 澤中眞弓, 日野典子, 佐久川明美, 水落和也, 安藤徳彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1996
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Summary:【目的】慢性関節リウマチ患者に対する関節保護法, スプリントの必要性が言われているが, その効果について客観的評価は少ない. 今回われわれは関節保護法の一つである雑巾がけ動作について, 関節保護法およびスプリントの評価のため, 三次元動作解析の技法を用いて検討した. 【方法】対象は健常者10名. 計測は三次元動作解析装置(Oxford Metrics社製Vicon 370 system)とKISLER社製床反力計を用いた. 右手第3指近位指節関節・中手指節関節(MP関節)・中手骨近位部にマーカーを置きMP関節の外転角変化を計測した. 各被検者でMP関節尺側偏位防止用スプリントを装着, 非装着時の2回計測, 設置した床反力計で雑巾にかかる力の影響を検討した. 【結果】MP関節尺側外転角は, 雑巾を橈側へ拭くとき最大(-1.2°)になり, 尺側へ拭くとき最小(-2.6°)となった. スプリントの装着にて, 橈側へ拭くとき最大(-3.6°)に, 尺側へ拭くとき最小(-3.8°)となり, 尺側偏位は有意に減少した(p<0.01). 雑巾にかける力の強弱にて角度に有意差を認めなかった. 【考察】MP関節尺側偏位は橈側へ拭く時に最大となることより, 雑巾がけは橈側へ拭く時に力をかけるのがよいとする関節保護法の効果については再考を要する. スプリントの装着により尺側偏位は減少することより, スプリントの着用はリウマチ患者のMP関節尺側偏位の予防に寄与していることが示唆された. 今後三次元動作解析装置を用いた治療効果の検討ができる可能性を示した.
ISSN:0034-351X