アレルギーによる健康被害を防ぐために -アレルギー性接触皮膚炎のリスク管理

I. はじめに 私たちの身の回りにある生活用品の原材料にはゴム, プラスチック, 木材や繊維などが用いられているが, これらの材質中に種々の目的で化学物質が添加されることがある. 最近の清潔志向を反映した抗菌剤の使用はその一例であり, 他にも着色剤や老化防止剤, 紫外線吸収剤など, その範囲は広範なものである. これらの化学物質への日常的な接触を原因とする健康影響として挙げられるのがアレルギー性接触皮膚炎である. 卵や牛乳による食物アレルギーや花粉症が原因物質への接触後直ちに引き起こされるのに対し, 化学物質による皮膚炎は通常接触して1, 2日後に反応が現れることから遅延型過敏症ともいわれてい...

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Published in生活衛生 Vol. 50; no. 5; pp. 359 - 364
Main Author 山野哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大阪生活衛生協会 30.09.2006
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ISSN0582-4176

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Summary:I. はじめに 私たちの身の回りにある生活用品の原材料にはゴム, プラスチック, 木材や繊維などが用いられているが, これらの材質中に種々の目的で化学物質が添加されることがある. 最近の清潔志向を反映した抗菌剤の使用はその一例であり, 他にも着色剤や老化防止剤, 紫外線吸収剤など, その範囲は広範なものである. これらの化学物質への日常的な接触を原因とする健康影響として挙げられるのがアレルギー性接触皮膚炎である. 卵や牛乳による食物アレルギーや花粉症が原因物質への接触後直ちに引き起こされるのに対し, 化学物質による皮膚炎は通常接触して1, 2日後に反応が現れることから遅延型過敏症ともいわれている. 皮膚炎症状はいったん発症すると長期にわたって現れることが多く, 生活の質(QOL)の観点からも重大な健康障害事例といえる. 消費材に使用されている化学物質約60,000種類のうちの10%, 即ち6,000種類の化学物質にはアレルギー性があるという推計もあり, 単にアレルギー性があるからといって, その化学物質の使用を全面的に禁じることは現実的には不可能とも言えるが, 何らかの規制措置が求められるところである.
ISSN:0582-4176