自動車運転が可能となった頸髄損傷例の麻痺レベルとADLの検討
頸髄損傷の運転能力について, 麻痺レベルと年齢の影響, 移乗能力との関係, そして職業, スポーツ活動への参加に関して調査を行った. 対象はリハビリテーション(以下, リハ)センターにて運転の訓練を希望した頸髄損傷完全麻痺で運転可能であった32例と不可能であった26例である. 直接, または電話によるアンケート調査を行った. 運転可能となる症例はC 5 Bのレベルで若年層にはじめて認めたが, この3例は車への移乗に部分介助を要していた. C 6レベルになると若年層でかなりの運転可能例を認めるが, 高齢者ではまだ困難であった. C 7, C 8のレベルでは運転がほぼ可能となっていた. ベッド-車...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; pp. 823 - 824 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1996
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 頸髄損傷の運転能力について, 麻痺レベルと年齢の影響, 移乗能力との関係, そして職業, スポーツ活動への参加に関して調査を行った. 対象はリハビリテーション(以下, リハ)センターにて運転の訓練を希望した頸髄損傷完全麻痺で運転可能であった32例と不可能であった26例である. 直接, または電話によるアンケート調査を行った. 運転可能となる症例はC 5 Bのレベルで若年層にはじめて認めたが, この3例は車への移乗に部分介助を要していた. C 6レベルになると若年層でかなりの運転可能例を認めるが, 高齢者ではまだ困難であった. C 7, C 8のレベルでは運転がほぼ可能となっていた. ベッド-車椅子間の移乗は可能群のほとんどが自立していたが, 不能群の約70%は介助を要していた. 一方, トイレ-車椅子間の移乗は運転可能群のほとんどが自立していたのに対して, 不能群のほとんどが全介助, または床上排便となっていた. トイレ-車椅子間の移乗能力は運転が可能かどうかの1つの目安となると考えられた. 運転可能群の約半数がなんらかの職業やスポーツ活動に就いていたが, 不能群では皆無であった. 運転可能群, 不能群いずれも麻痺レベルと年齢の分布が異なり, 単純には比較できないが, 職業やスポーツ活動への参加には車の運転が不可欠のものであると考えられた. 頸髄損傷のリハを進めるうえで車の運転を積極的に取り入れていく必要があると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |