肝細胞癌破裂例の予後因子に関する検討
【はじめに】肝細胞癌(以下肝癌)の経過中に生じる肝癌破裂は難治性で非常に予後不良である. 今回我々は, 肝癌破裂症例の短期予後に影響を与える因子について検討した. 【対象と方法】1985年~1999年の15年間に当教室及び関連病院で経験した破裂肝癌症例57名中, 生存日数1年以内の51名(男38名, 女13名)を対象とした. 肝癌破裂時の各検査項目, 破裂時の重症ショックの有無対破裂治療と生存日数との関連を検討した. 【結果】50%生存日数は13日で, 1ヶ月以内に37名(73%)が死亡した. 対破裂治療と重症ショックの有無が生存率と有意な関連を認め, プロトンビン時間(PT)が長いほど, 早...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 5; p. 363 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.09.2001
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【はじめに】肝細胞癌(以下肝癌)の経過中に生じる肝癌破裂は難治性で非常に予後不良である. 今回我々は, 肝癌破裂症例の短期予後に影響を与える因子について検討した. 【対象と方法】1985年~1999年の15年間に当教室及び関連病院で経験した破裂肝癌症例57名中, 生存日数1年以内の51名(男38名, 女13名)を対象とした. 肝癌破裂時の各検査項目, 破裂時の重症ショックの有無対破裂治療と生存日数との関連を検討した. 【結果】50%生存日数は13日で, 1ヶ月以内に37名(73%)が死亡した. 対破裂治療と重症ショックの有無が生存率と有意な関連を認め, プロトンビン時間(PT)が長いほど, 早期死亡の危険が高くなる傾向を認めた. 経動脈的肝動脈塞栓療法(TAE)例の50%生存日数は39日であり保存療法例の12日より良好であった. しかし, 保存療法例はTAE例に比しビリルビン値が高く, PTが有意に延長しており, 状態の悪い例が保存治療になったため, 生存率に差が出た可能性があった. そこでPT50%以上, かつ重症ショック無しを好条件群, PT50%未満, かつ重症ショック有りを悪条件群として再検討した. |
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ISSN: | 1343-2826 |