脳卒中慢性期に尿失禁の改善した3例の経験と考察

「症例1」60歳男性. くも膜下出血術後脳梗塞による左片麻痺で発症8ヵ月後に在宅復帰. 歩行自立, その他のADLも可能で痴呆もないが失禁. 膀胱の無抑制収縮も伴っていたが, 外出など外的刺激を行い1カ月後にはほとんど失禁は消退. 「症例2」68歳女性. 脳塞栓症による左片麻痺で発症2ヵ月後に当科転院. 清潔保持に無関心で失禁. デイルームで過ごすなど他患との交流を持つように働きかけ2週後より尿意を訴え失禁はなくなった. 「症例3」70歳男性. 左被殻出血による右片麻痺と重度失語症で発症2ヵ月後に転科. 排尿誘導は有効だったが, 尿意の伝達が不可. 外泊後も尿意の表出はないがトイレヘの歩行と排...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 2; p. 148
Main Authors 穐山尚子, 竹内孝仁, 長田優香, 高橋祥子, 大矢亜野
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:「症例1」60歳男性. くも膜下出血術後脳梗塞による左片麻痺で発症8ヵ月後に在宅復帰. 歩行自立, その他のADLも可能で痴呆もないが失禁. 膀胱の無抑制収縮も伴っていたが, 外出など外的刺激を行い1カ月後にはほとんど失禁は消退. 「症例2」68歳女性. 脳塞栓症による左片麻痺で発症2ヵ月後に当科転院. 清潔保持に無関心で失禁. デイルームで過ごすなど他患との交流を持つように働きかけ2週後より尿意を訴え失禁はなくなった. 「症例3」70歳男性. 左被殻出血による右片麻痺と重度失語症で発症2ヵ月後に転科. 排尿誘導は有効だったが, 尿意の伝達が不可. 外泊後も尿意の表出はないがトイレヘの歩行と排泄が自立した. 「考察」脳卒中患者の失禁には膀胱機能・知能・運動機能のみならず, 行為の遂行機能も影響すると考えた. 症例1,2は外的刺激が動機づけとなり排泄行為を設定しえた. 症例3では尿意の伝達という過程を省くことによって排泄行為が完成した.
ISSN:0034-351X