輸血検査の反応時間短縮についての検討

T&Sにより定例手術時の緊急追加輸血への対応は, ほぼ満足できるレベルにある. ところが, 突然の緊急輸血には, しばしば不満の声も聞かれる. 特に早急な輸血がその後の予後に大きな影響を与えるような患者が多い救命センターや外来患者の輸血でその傾向が強い. そこで, 今回, クームス試験用添加剤であるガンマPeGが発売されたのを機に, 輸血検査の反応時間をどこまで短縮可能かを検討したので報告する. 方法:反応時間短縮の検討に用いた試薬は重合ウシアルブミン(オーソ), ガンマPeG(カイノス), 広範囲クームス血清(国際), IgG特異クームス血清(オーソ)を用いた. ブロメリンは, 国際...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 3; p. 566
Main Authors 東谷孝徳, 川野洋之, 小川美津子, 木村博司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.08.1994
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ISSN0546-1448

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Summary:T&Sにより定例手術時の緊急追加輸血への対応は, ほぼ満足できるレベルにある. ところが, 突然の緊急輸血には, しばしば不満の声も聞かれる. 特に早急な輸血がその後の予後に大きな影響を与えるような患者が多い救命センターや外来患者の輸血でその傾向が強い. そこで, 今回, クームス試験用添加剤であるガンマPeGが発売されたのを機に, 輸血検査の反応時間をどこまで短縮可能かを検討したので報告する. 方法:反応時間短縮の検討に用いた試薬は重合ウシアルブミン(オーソ), ガンマPeG(カイノス), 広範囲クームス血清(国際), IgG特異クームス血清(オーソ)を用いた. ブロメリンは, 国際, オーソガンマ社のブロメリンを検討した. また, 使用した血球は市販の血球と自家製の血球を用い, 次のことについて検討した. 1. 抗E血清を用いてアルブミン・クームス法とPeG・クームス法の比較. 2. PeG・クームス法の反応時間別の比較. 3. 各種抗血清を用いてアルブミン・クームス法とPeG・クームス法の比較. 4. 抗E血清を用いて各社ブロメリンの比較. 5. 各社ブロメリンの反応時間別の比較. おわりに:今回の検討の結果, PeG・クームス法はアルブミン・クームス法に比べ感度が良いことがわかった. しかも緊急時には反応時間を5分に短縮可能であると思われた. また, ブロメリンは国際試薬のブロメリンだと反応時間を5分まで短縮できるが, 他社のブロメリンなら最低, 10分は必要と思われた. これにより, 仮に不規則抗体が存在した場合, 不規則抗体スクリーニング, 同定, 血液型のチェック, 交差適合試験という一連の操作で, 最低40分は従来法より早く血液を供給できることになり, 緊急輸血には極めて有用なことと思われた.
ISSN:0546-1448