学童における歯周疾患指数と口呼吸徴候および口唇閉鎖力との関係

近年, 安静時に口を開けたままにしている若年者が多く見られる印象をうける. これらの口唇閉鎖不全状態は歯周疾患のリスクファクターである口呼吸の徴候として考えられている. また, 若年者における口呼吸には食生活習慣の変化などによる口唇閉鎖力の低下も関与しているといわれているが, それらの関連性についての報告は少ない. そこで今回, 我々は学童を対象とした調査において, 歯周疾患指数と口呼吸徴候および口唇閉鎖力との関係について検討を行った. 調査対象は北九州市内の小学生87名であり, 2005年2月17日に調査を行った. 歯周疾患指数としてPMA index, CPI, P1Iを計測し, 口呼吸徴...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 59; no. 4; p. 163
Main Authors 笠井宏記, 渡辺麗子, 井上弘子, 牧野正敬, 佐藤奈緒, 原田依美, 野間則徳, 横田誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.10.2005
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Summary:近年, 安静時に口を開けたままにしている若年者が多く見られる印象をうける. これらの口唇閉鎖不全状態は歯周疾患のリスクファクターである口呼吸の徴候として考えられている. また, 若年者における口呼吸には食生活習慣の変化などによる口唇閉鎖力の低下も関与しているといわれているが, それらの関連性についての報告は少ない. そこで今回, 我々は学童を対象とした調査において, 歯周疾患指数と口呼吸徴候および口唇閉鎖力との関係について検討を行った. 調査対象は北九州市内の小学生87名であり, 2005年2月17日に調査を行った. 歯周疾患指数としてPMA index, CPI, P1Iを計測し, 口呼吸徴候の診査として口唇閉鎖不全, 歯肉増殖, テンションリッジ, 高口蓋, 口唇乾燥, 前歯部齲蝕の視診と鼻息計測を行った. また, 口唇力測定器(LIP DE CUM(R)/LDC-110R)を用いて口唇閉鎖力を測定した. その結果, 口唇閉鎖不全を認めた学童は調査対象者の65.5%であった. そのうち重度口唇閉鎖不全は48.3%であった. 口唇閉鎖不全群では口唇閉鎖群に比べてPMA index, CPI, P1Iが高値であり, 口唇閉鎖不全群における口呼吸徴候の発現頻度は, 口唇閉鎖群に比べて有意に高い値を示した. 口唇閉鎖力は口唇閉鎖不全群で弱い傾向が認められた.
ISSN:0368-6833