失語症者における言語的プロソディー認知についての研究:アクセント異同弁別能力を中心として

【目的】失語症者における次の点を検討する. (1)ピッチアクセントの認知能力について, (2)音の認知能力について, (3)アクセント認知能力と音の認知能力は独立しているか否かについて. 【方法】失語症者74名, 健常者19名を被験者とした. 両者とも日常的なコミュニケーションにおいて聴こえに問題がない者に限定した. 各被験者群に, 48問の異同弁別課題を聴覚提示により実施した. 課題の1問は音韻的な面あるいは音質は同じ2つの音刺激の組み合わせからなる. 本研究では便宜上, 音刺激について, 発話者の音声をそのまま使用したものを「自然音」, 自然音におけるアクセントのピッチ曲線の傾斜を半分にし...

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Published inコミュニケーション障害学 Vol. 20; no. 3; p. 172
Main Authors 入江美緒, 進藤美津子, 長塚紀子, 荒井隆行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本コミュニケーション障害学会 30.12.2003
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ISSN1347-8451

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Summary:【目的】失語症者における次の点を検討する. (1)ピッチアクセントの認知能力について, (2)音の認知能力について, (3)アクセント認知能力と音の認知能力は独立しているか否かについて. 【方法】失語症者74名, 健常者19名を被験者とした. 両者とも日常的なコミュニケーションにおいて聴こえに問題がない者に限定した. 各被験者群に, 48問の異同弁別課題を聴覚提示により実施した. 課題の1問は音韻的な面あるいは音質は同じ2つの音刺激の組み合わせからなる. 本研究では便宜上, 音刺激について, 発話者の音声をそのまま使用したものを「自然音」, 自然音におけるアクセントのピッチ曲線の傾斜を半分にしたものを「合成音」と呼ぶこととした. 音刺激は, (1)有意味無意味2モーラ単語, (2)のこぎり波三角波, (3)合成有意味合成無意味2モーラ単語, (4)合成のこぎり波合成三角波の4種類に分かれた. 【結果と考察】(1)失語群と健常群の比較では, いずれの刺激の種類においても, 有意に課題成績が低下していた. (2)失語群について重症度別に課題成績の差を比較したところ, 軽度群はいずれの刺激の種類においても, 健常群との有意差はみられなかった.
ISSN:1347-8451