利用者や援助の実態から見た老人デイケアの課題

「目的」老人デイケア利用者の状況や利用目的などに関する調査を行ったので, これらの結果から, デイケアの機能や在り方について報告する. 「対象と方法」デイケア実施施設中, 14施設(病院4か所, 診療所6か所, 老健4か所)の調査日総利用者420名を対象とした. 「結果と考察」(1)基礎疾患で, 脳卒中は全体の約20%, 痴呆38%, 生活に影響する疾患なし約20%と, 利用者が多様な疾病をもっとともに, 虚弱老人も対象になっていた. (2)リハ治療の経験は全体の30%で, 回復期のリハからデイケアにつなげるようなケースは多くなかった. (3)生活自立度ではJとAランクが全体の約90%で, 利...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 987
Main Authors 浜村明徳, 梅木義臣, 松坂誠應, 藤田雅章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」老人デイケア利用者の状況や利用目的などに関する調査を行ったので, これらの結果から, デイケアの機能や在り方について報告する. 「対象と方法」デイケア実施施設中, 14施設(病院4か所, 診療所6か所, 老健4か所)の調査日総利用者420名を対象とした. 「結果と考察」(1)基礎疾患で, 脳卒中は全体の約20%, 痴呆38%, 生活に影響する疾患なし約20%と, 利用者が多様な疾病をもっとともに, 虚弱老人も対象になっていた. (2)リハ治療の経験は全体の30%で, 回復期のリハからデイケアにつなげるようなケースは多くなかった. (3)生活自立度ではJとAランクが全体の約90%で, 利用者の大半が施設内歩行可能と思われ, 対象者の検討が課題と思われた. (4)利用期間は1年未満が全体の44%, 利用頻度は月平均13.1回となっていた. (5)発症1年未満の脳卒中利用者が占める割合は全体の37%で, 医療のかかわりが期待される発症間もないケースが, デイケアに多くないことは利用目的とも関連し, 重要な検討課題となる. (6)利用目的では, 開始時から, 対人交流などのSocial Activity, 機能維持, 家族負担軽減などを目的とするケースが多く, 6か月以上経過しても変化に乏しく, 援助の在り方にも課題があると考えられた. (7)サービス併用ケースも極めて少なく, ケアマネジメントの不十分さが推測された. 「結論」対象者, 利用頻度, かかわり方, 援助の質, 運営の在り方などに課題があると考えられた.
ISSN:0034-351X