気管支鏡により発見された右中葉気管支閉鎖症の2例

気管支閉鎖症は, 胎生期に気管支が閉鎖し, 肺胞気管支分泌物の貯留によって末梢気管支が嚢胞状に拡張し, さらに末梢肺は側副換気によるair trappingのために気腫状変化を呈する先天性の気管支病変とされる. 我々は気管支鏡検査で発見された右中葉気管支閉鎖症の2例を経験したので報告する. 〔症例1〕53歳, 男性. 検診にて右肺門部に腫瘤影を認め, 断層, 胸部CTにて右肺門部に40×45mmの腫瘤を認めた. 気管支鏡検査を施行したところ, 右中葉支は膜様に閉塞し盲端となっており, 気管支造影にても右中葉は造影されず, 気管支閉鎖症と考えられた. 肺動脈造影では中葉枝は造影されず, 腫瘤には...

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Published in気管支学 Vol. 16; no. 3; p. 288
Main Authors 磯部威, 大橋信之, 住吉秀隆, 竹本祐司, 奥崎健, 二井谷研二, 岸槌健太郎, 村上功, 由田康弘, 藤原康弘, 山岡直樹, 長谷川健司, 山木戸道郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 01.05.1994
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ISSN0287-2137

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Summary:気管支閉鎖症は, 胎生期に気管支が閉鎖し, 肺胞気管支分泌物の貯留によって末梢気管支が嚢胞状に拡張し, さらに末梢肺は側副換気によるair trappingのために気腫状変化を呈する先天性の気管支病変とされる. 我々は気管支鏡検査で発見された右中葉気管支閉鎖症の2例を経験したので報告する. 〔症例1〕53歳, 男性. 検診にて右肺門部に腫瘤影を認め, 断層, 胸部CTにて右肺門部に40×45mmの腫瘤を認めた. 気管支鏡検査を施行したところ, 右中葉支は膜様に閉塞し盲端となっており, 気管支造影にても右中葉は造影されず, 気管支閉鎖症と考えられた. 肺動脈造影では中葉枝は造影されず, 腫瘤には肺動脈からの血流を認めなかった. 右肺門部腫瘤が増大傾向にあり, 悪性病変も否定できないため開胸術を施行し心術中所見では, 上下葉間に萎縮した中葉を認め, 内部には膿性な粘液を有する多房性嚢胞を認めた. 病理学的には拡張した気管支に非特異的な慢性炎症性細胞の浸潤を認め, 気管支が閉鎖した後に生じたmucoid inpactionと考えた. 〔症例2〕47歳, 男性. 検診時の喀痰細胞診にて異常を認めたため気管支鏡検査を施行. 右中葉支は症例1と同様に膜様に閉塞しており気管支閉鎖症と考えた. 本症例は他に異常を認めず, 現在経過観察中である.
ISSN:0287-2137