HLA-B nullの1家系
〔目的〕骨髄移植を目的としてHLA検査の依頼があった家族から, B座抗原に対する抗体に全く反応しない検体が見出され, 家系調査を実施したので報告する. 〔方法〕HLA-ClassI検査は, 4種類のタイピングトレイと70種のB座のみに特異的に反応する特異性の広い抗体を組み合わせたB座トレイを, ClassII検査は3種類のタイピングトレイを使用し, LCT法(蛍光二重染色・自動判定法)で実施した. さらに, ClassIIについてはDNA検査(PCR-RFLP法)も実施した. また, 赤血球型の各血液型についても検査した. 〔結果〕発端者は37才, 1男2女の母親であり次女は重症再生不良性貧血...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 6; p. 1064 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.12.1994
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 〔目的〕骨髄移植を目的としてHLA検査の依頼があった家族から, B座抗原に対する抗体に全く反応しない検体が見出され, 家系調査を実施したので報告する. 〔方法〕HLA-ClassI検査は, 4種類のタイピングトレイと70種のB座のみに特異的に反応する特異性の広い抗体を組み合わせたB座トレイを, ClassII検査は3種類のタイピングトレイを使用し, LCT法(蛍光二重染色・自動判定法)で実施した. さらに, ClassIIについてはDNA検査(PCR-RFLP法)も実施した. また, 赤血球型の各血液型についても検査した. 〔結果〕発端者は37才, 1男2女の母親であり次女は重症再生不良性貧血と診断された. 当センターで家族のHLA検査を実施したところ, 発端者はB座抗原に対する抗体と全く反応しなかった. 発端者のHLA型は, A24/-B-/-, Bw-/-, Cw4/-, DR4.2/-, DQ3/-であり, A24-Cw4-Bb1-DR4.2-DQ3のハブロタイプは発端者の両親から発端者へ, また発端者の子供へ矛盾無く遺伝していた. さらに赤血球型も矛盾無く遺伝していた. 患児とその姉のHLAが一致し, MLC陰性であったため骨髄移植が施行された. GVHDは軽微に経過し, すでに社会復帰している. 〔考察および結語〕HLA-B座抗原に対する抗体と全く反応しない検体を検出し, それが矛盾無く遺伝していることが確認された. なお, 発端者の両親は下北半島先端部の出身で近親婚である. さらに, 患児がその姉から骨髄移植を受けた後GVHDが軽微で容易に生着したことからも, 発端者のHLAはホモザイゴートであると推定できる. B座抗原が検出されない原因として, (1)使用した血清では検出できない新しい抗原である, (2)mRNAが発現されない(プロモーター領域の異常), (3)mRNAの翻訳時の異常なスプライジング. (4)B座領域の一部または全部が欠落しているなどが考えられ, 現在検索中である. |
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ISSN: | 0546-1448 |