D-型症例について

今回, 比較的稀とされる表現型-D-型症例を経験したので述べ, 併せて家族構成員の赤血球に関しFCMによる解析を行いその成績について報告した. 症例:G. H, 78歳, 男性, 腹部大動脈瘤の診断のもと手術適応となり, 輸血用血液の交差適合試験を施行するにすべて陽性反応を呈し, 従って不規則抗体同定の依頼をうけた. 結果:血清学的検査において, RhD以外のRh因子及び抗HrO抗体に対する反応はみられず, また吸着解離試験においても抗体陰性であり, 従って, Rh式血液型を-D-型と判定した. 不規則抗体に関しては, パネル血球すべてと反応をみるが, -D-型血球とは反応がみられず抗HrO抗...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; p. 47
Main Authors 石田清光, 五十嵐満, 高木勝宏, 室井弥生, 宍戸一広, 野田正昭, 渡辺岩雄, 松村和子, 常山初江, 内川誠, 佐藤洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.2001
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Summary:今回, 比較的稀とされる表現型-D-型症例を経験したので述べ, 併せて家族構成員の赤血球に関しFCMによる解析を行いその成績について報告した. 症例:G. H, 78歳, 男性, 腹部大動脈瘤の診断のもと手術適応となり, 輸血用血液の交差適合試験を施行するにすべて陽性反応を呈し, 従って不規則抗体同定の依頼をうけた. 結果:血清学的検査において, RhD以外のRh因子及び抗HrO抗体に対する反応はみられず, また吸着解離試験においても抗体陰性であり, 従って, Rh式血液型を-D-型と判定した. 不規則抗体に関しては, パネル血球すべてと反応をみるが, -D-型血球とは反応がみられず抗HrO抗体と同定するに至った. 発端者(I-1)及び家族構成員(II-2,4,6, III-1)CCDee型のFCMによる抗D抗体に対する赤血球の検討の結果, 発端者における-D-/-D-型では, 特異的に赤血球抗原量及び蛍光強度の増加がみられた. これに対し, II世代のCDe/-D-型, 次いでIII世代のCDe/CDe型と型パターンを異にし, 表現型(CCDee)が同型であっても, 遺伝子型におけるハプロタイプの違いを示唆する成績が得られた. なお, 国内における-D-型の登録及び供給状況に関しても言及した.
ISSN:0546-1448