リハビリテーション専門病院における退院患者の動向

【目的】在宅医療の推進, 社会的入院の改善が検討されている現状において, リハビリテーション(以下, リハ)医療の目標である社会・家庭復帰の現実的因子の分析の目的で, リハ専門病院の自宅退院患者の実態調査を行った. 【結果】1994~1995年の2年間の退院患者739名中自宅退院者は440名であった. 年齢により50歳未満では65%が自宅退院しているのに対して, 65歳未満では59%, 75歳未満では55%, 85歳未満では53%, 86歳以上では35%と減少していた. しかし, ADL自立度では, 65歳以上では, 大部分~全介助レベルでの自宅退院者が65歳以下の重度介助者に比べて多くなって...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 12; p. 1041
Main Authors 今村義典, 末永英文, 戸田ゆみ子, 仲嶺時雄, 宮良長和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1996
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】在宅医療の推進, 社会的入院の改善が検討されている現状において, リハビリテーション(以下, リハ)医療の目標である社会・家庭復帰の現実的因子の分析の目的で, リハ専門病院の自宅退院患者の実態調査を行った. 【結果】1994~1995年の2年間の退院患者739名中自宅退院者は440名であった. 年齢により50歳未満では65%が自宅退院しているのに対して, 65歳未満では59%, 75歳未満では55%, 85歳未満では53%, 86歳以上では35%と減少していた. しかし, ADL自立度では, 65歳以上では, 大部分~全介助レベルでの自宅退院者が65歳以下の重度介助者に比べて多くなっていた. 介護者は, 65歳以下では配偶者が59%を占め, 特に妻が41%であるのに対して, 66歳以上では, 娘と嫁が51%を占めるようになっていた. 環境因子として季節の影響は認められなかった. 在宅支援では, 問題発生時の随時受け入れ体制(短期入院)は利用されているが, 社会的資源の利用状況は未だ少なく, 今後, 在宅推進の核としても, 退院準備時点からも, 在宅支援, 社会資源利用の情報提供は重要であると考えられた. 【結語】年齢による家族構成・家庭環境の把握と, 社会資源, 在宅支援の具体的利用法の情報等が, 患者個体のADL等の限界を解決する方向であると考えられる.
ISSN:0034-351X