膝前十字靱帯損傷の再建
膝前十字靭帯(以下ACL)は膝の前外側回旋を安定させる靱帯であり, 損傷後も活動を続けると半月板や軟骨が二次的に損傷される. 当科では腸脛靱帯を用いてACLを再建している. 即ち, 患側の腸脛靱帯を紐状にし大腿骨, 膝窩部関節外, 関節内, 脛骨を通しステープルで脛骨に固定する. 術後は2日目下肢筋力訓練, 3日目CPM(30~70度), 2週目部分荷重(30度伸展制限装具), 4週目全荷重, 7週目伸展制限解除, 8週目jogging(膝装具), 7ヵ月ランニング, 8ヵ月スポーツ復帰というプログラムで行う. 当院において最近10年間に行ったACL再建例は22例(男性9例, 女性13例),...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 1121 - 1122 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.2000
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 膝前十字靭帯(以下ACL)は膝の前外側回旋を安定させる靱帯であり, 損傷後も活動を続けると半月板や軟骨が二次的に損傷される. 当科では腸脛靱帯を用いてACLを再建している. 即ち, 患側の腸脛靱帯を紐状にし大腿骨, 膝窩部関節外, 関節内, 脛骨を通しステープルで脛骨に固定する. 術後は2日目下肢筋力訓練, 3日目CPM(30~70度), 2週目部分荷重(30度伸展制限装具), 4週目全荷重, 7週目伸展制限解除, 8週目jogging(膝装具), 7ヵ月ランニング, 8ヵ月スポーツ復帰というプログラムで行う. 当院において最近10年間に行ったACL再建例は22例(男性9例, 女性13例), 年齢16~47歳(平均29歳)であった. それぞれの症例について調査した結果N-test術前陰性0例・陽性22例, 術後陰性21例・陽性1例, 術後正座全例可能であった. 術後成績は, 膝の不安定性がしっかり制御されているか, 可動域制限が生じていないか, 再建靱帯に十分な強度があるかという点が重要である. 現在では, 主に再建靱帯の強度に重きをおいて骨片付き膝蓋腱を用いた術式がgolden standardとも言われているが, 不安定性の残存, 胎伸展機構を傷害するための可動域障害や筋力低下などの後遺症が報告されている. 腸脛靱帯を用いた再建術では膝蓋腱を用いた再建術に比較して少し強度が弱いものの, 関節内と関節外の再建を同時に行う事ができ, 膝の回旋不安定性の防止に優れている. また膝伸展機構を損傷しない為にROM制限を生じる事が少ない. これらの点から腸脛靱帯を用いた再建術は優れた方法と考える. |
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ISSN: | 0034-351X |