急速に進行し死の転帰をとった肺毛細血管腫症の1例

症例は25歳, 男性. 平成16年3月より呼吸困難を自覚し特発性肺動脈性肺高血圧症と診断された. ベラプロスト投与, 抗凝固療法, 酸素吸入にて改善せず, 7月よりエポプロステノール持続静注療法を開始したが, 12月に呼吸不全のため死亡した. 剖検で初めて肺毛細血管腫症と診断された. 本症は肺高血圧をきたす疾患のなかでは極めて稀である. 罹患血管床の分布や病変の程度にもよるが, 多くは進行性で, 治療抵抗例は肺移植の適応となる. われわれは通常のCT検査を行っていたが, 本疾患を指摘できなかった. 治療抵抗性の肺高血圧症のなかには本症が含まれている可能性が高く, その診断には高分解能CTが有用...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 12; pp. 1192 - 1198
Main Authors 小幡裕明, 大倉裕二, 小玉誠, 末武修二, 渡部裕, 阿部暁, 広野暁, 三間渉, 伊藤正洋, 加藤公則, 塙晴雄, 長谷川剛, 相澤義房
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.12.2006
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Summary:症例は25歳, 男性. 平成16年3月より呼吸困難を自覚し特発性肺動脈性肺高血圧症と診断された. ベラプロスト投与, 抗凝固療法, 酸素吸入にて改善せず, 7月よりエポプロステノール持続静注療法を開始したが, 12月に呼吸不全のため死亡した. 剖検で初めて肺毛細血管腫症と診断された. 本症は肺高血圧をきたす疾患のなかでは極めて稀である. 罹患血管床の分布や病変の程度にもよるが, 多くは進行性で, 治療抵抗例は肺移植の適応となる. われわれは通常のCT検査を行っていたが, 本疾患を指摘できなかった. 治療抵抗性の肺高血圧症のなかには本症が含まれている可能性が高く, その診断には高分解能CTが有用とされている. エポプロステノールは本疾患による肺高血圧を助長する可能性が指摘されており, 治療抵抗例では厳重な観察が必要である.
ISSN:0586-4488