等速運動器を用いた頸椎部脊髄症患者の下肢痙性の定量的評価

「目的」頸椎部脊髄症(以下, 頸髄症)患者の下肢痙性の定量化を目的とし, 他動運動時における痙性筋の評価を行ったので報告する. 「対象」頸髄症患者31例, 平均年齢61.9±8.6歳を対象とした. 術前のJOAスコアは, 上肢機能を除いた11点満点中平均7.8±1.9点であり, 10~11点を軽度群, 7~9点を中等度群, 6点以下を重度群とした. 健常群では, 10例, 平均年齢56.4±10.8歳の健康人を評価した. 「方法」Kin-Com500Fの等速他動運動モードを使用し, 40,60,120deg/sの角加速度で得られた膝関節屈曲5度から75度の屈曲・伸展時のトルク波形の第1波の振幅...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; pp. 777 - 778
Main Authors 前沢靖久, 馬場久敏, 内田研造, 古沢修章, 小久保安朗, 井村慎一, 佐々木伸一, 嶋田誠一郎, 武村啓住
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1998
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Summary:「目的」頸椎部脊髄症(以下, 頸髄症)患者の下肢痙性の定量化を目的とし, 他動運動時における痙性筋の評価を行ったので報告する. 「対象」頸髄症患者31例, 平均年齢61.9±8.6歳を対象とした. 術前のJOAスコアは, 上肢機能を除いた11点満点中平均7.8±1.9点であり, 10~11点を軽度群, 7~9点を中等度群, 6点以下を重度群とした. 健常群では, 10例, 平均年齢56.4±10.8歳の健康人を評価した. 「方法」Kin-Com500Fの等速他動運動モードを使用し, 40,60,120deg/sの角加速度で得られた膝関節屈曲5度から75度の屈曲・伸展時のトルク波形の第1波の振幅を比較検討した. 重力補正はソフト上で処理した. 「結果」重症度別の各角速度における第1波振幅は, 軽度・中等度群は健常者群に対して各角速度において有意に低値を呈した(p<0.05). 一方, 重度群は軽度・中等度群に比して高値を呈し, その傾向は角加速度が増加するにつれ顕著となった. 「考察」第1波振幅の低下は, 筋緊張亢進によるものと考えられる. 一般に, 筋緊張亢進は, 伸張反射や筋の粘弾性の増加によるとされているが, 重度群においては軽度・中等度群に比して, 振幅が増大することが分かった. 「結語」等速運動器を用いた頸髄症の下肢痙性評価は, 軽度・中等度群において痙性の検出に優れ, しかも定量化が可能であった.
ISSN:0034-351X