聴覚障害乳幼児におけるノンリニア補聴器の特性評価の一手順 -2cm3カプラ内音圧レベルへの閾値換算を用いて

「要旨」:本研究は, 聴覚障害乳幼児の装用するノンリニア補聴器の利得/周波数特性の評価を目的とした. 乳幼児23名45耳を対象にインサートイヤホンを使用したVRAを施行し, 得られた左右耳別の反応閾値とノンリニア補聴器の周波数特性図を2cm3カプラ内音圧レベル上で比較した. 反応閾値にはCDD(カプラ-ダイヤル差)値を加算し, 2cm3カプラ内音圧レベルへの換算を行った. 500Hz, 1000Hz, 2000Hzにおいては, 反応閾値と各入力レベルによる補聴器の出力レベルの間に強い相関がみとめられた. 本手法は, 補聴器装着時とインサートイヤホン装着時のイヤモールドによる実耳特性が同一である...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 51; no. 6; pp. 648 - 655
Main Authors 富澤晃文, 加藤大典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本聴覚医学会 28.12.2008
Online AccessGet full text
ISSN0303-8106

Cover

More Information
Summary:「要旨」:本研究は, 聴覚障害乳幼児の装用するノンリニア補聴器の利得/周波数特性の評価を目的とした. 乳幼児23名45耳を対象にインサートイヤホンを使用したVRAを施行し, 得られた左右耳別の反応閾値とノンリニア補聴器の周波数特性図を2cm3カプラ内音圧レベル上で比較した. 反応閾値にはCDD(カプラ-ダイヤル差)値を加算し, 2cm3カプラ内音圧レベルへの換算を行った. 500Hz, 1000Hz, 2000Hzにおいては, 反応閾値と各入力レベルによる補聴器の出力レベルの間に強い相関がみとめられた. 本手法は, 補聴器装着時とインサートイヤホン装着時のイヤモールドによる実耳特性が同一であることを利用してRECD(実耳-カプラ差)値への対処を行ったものであるが, 反応閾値と補聴器の出力レベルを同一のデシベル尺度上で比較できることから, 乳幼児におけるノンリニア補聴器の閾値上の特性評価手順として有用と考えられた. 「問題の所在」聴覚障害乳幼児の音受容における補聴の役割は大きいが, 補聴器適合の上では音声を閾値上の最適な聴取レベルに増幅することが目指される.
ISSN:0303-8106