急性薬物中毒415症例の検討

本院救命救急センターに来院した急性薬物中毒症例415例についてその治療法について検討を加え若干の知見を得たので報告する. 415例の内農薬系76名, 眠剤系159名その他162名となっている. 眠剤系中毒159例の内活性炭による吸着療法等の血液浄化療法を必要とした者は2名にすぎず重症例11例を含め眠剤系中毒159例のほとんどを輸液等による保存的療法で治療し得ており依然として重要な治療法であることを確認した. しかし中には重症化する例もあり経過次第ではDHP等の積極的な血液浄化法が必要となることもある. 一方農薬中毒特にパラコート中毒は予後も悪く消化管の洗浄等の処置に加え早急な血液浄化法が必要で...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 30; no. 2; p. 138
Main Authors 上木原宗一, 早野俊一, 楠本行彦, 村上智章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1984
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ISSN0546-1448

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Summary:本院救命救急センターに来院した急性薬物中毒症例415例についてその治療法について検討を加え若干の知見を得たので報告する. 415例の内農薬系76名, 眠剤系159名その他162名となっている. 眠剤系中毒159例の内活性炭による吸着療法等の血液浄化療法を必要とした者は2名にすぎず重症例11例を含め眠剤系中毒159例のほとんどを輸液等による保存的療法で治療し得ており依然として重要な治療法であることを確認した. しかし中には重症化する例もあり経過次第ではDHP等の積極的な血液浄化法が必要となることもある. 一方農薬中毒特にパラコート中毒は予後も悪く消化管の洗浄等の処置に加え早急な血液浄化法が必要である. 又合併症併発例は来院時すでに発症しているものが多く, 眠剤系中毒で従来すすめられている合併症予防のための早期DHP使用は必ずしも必要とは思われずコストの上からも安易な使用は好ましくない. 治療の指標として, 薬物の血中濃度測定は重要であるが, 現在すみやかに血中濃度を測定し治療に反映できる施設はほとんどない. 我々も現在クロマトグラフィーにより血中濃度測定ができるように準備中である.
ISSN:0546-1448