供血者における血小板粒度分布-HCV抗体陽性者を中心として

血液センターにおいて輸血後感染症への一対策として, 献血血液に対しHCV抗体検査を導入し, その成果はみるべきものがある. 今回HCV抗体陽性者に関し, 血小板の数及び粒度分布の観点から検討を加えた. 対象は6ヵ月間の供血者34,979名中HCV抗体陽性(PHA法)者112例についてである. まず血小板数(PLT)についてであるが, HCV抗体陽性者では対照とした健常供血者(n=80), HBs抗原陽性者(n=20)及びHTLV-I抗体陽性者(n=20)との間に有意差はなかった. これに対し平均血小板容積(MPV)についてはHCV抗体陽性者において, 対照とした群との間に有意の差が認められた....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 628
Main Authors 井村健, 星尚宏, 宍戸一広, 室井弥生, 武井裕, 渡辺岩雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.09.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:血液センターにおいて輸血後感染症への一対策として, 献血血液に対しHCV抗体検査を導入し, その成果はみるべきものがある. 今回HCV抗体陽性者に関し, 血小板の数及び粒度分布の観点から検討を加えた. 対象は6ヵ月間の供血者34,979名中HCV抗体陽性(PHA法)者112例についてである. まず血小板数(PLT)についてであるが, HCV抗体陽性者では対照とした健常供血者(n=80), HBs抗原陽性者(n=20)及びHTLV-I抗体陽性者(n=20)との間に有意差はなかった. これに対し平均血小板容積(MPV)についてはHCV抗体陽性者において, 対照とした群との間に有意の差が認められた. しかもPLTとMPVとの関係を示すBessmans nomogramにおいては, HCV抗体陽性者の22.3%がPLTの減少・MPVの大容量域の区域外に分布し, 対照群とは異なる様相がみられた. またHCV抗体価とPLT数との検討では, 抗体価の上昇とともにPLT数は減少し, しかも高ALT血症の傾向を示す成績が得られた.
ISSN:0546-1448