温熱放射線治療後に動脈塞栓術を行った肝癌の1例
【目的】Thermotron RF-8で1600Wという高出力で温熱放射線治療を行った肝癌の症例を報告する. 【症例】40歳男性. B型慢性肝炎(HBV carieer)に合併した直径10cmを越えるVp3のcombined hepatocellular and cholangiocarcinomaに対して, 温熱放射線療法を行った. 放射線治療は10MVのX線で, 1.5Gy/回, 2回/日, 週5回計45Gyの照射を行い, 温熱療法はThermotron RF-8で30cmの電極を用い, 50分/回で週2回, 合計5回行った. 2回目の温熱療法の時に超音波ガイド下に経皮経肝的に腫瘍を穿刺し...
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Published in | 日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 19; no. 4; pp. 211 - 212 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
01.12.2003
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ISSN | 0911-2529 |
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Summary: | 【目的】Thermotron RF-8で1600Wという高出力で温熱放射線治療を行った肝癌の症例を報告する. 【症例】40歳男性. B型慢性肝炎(HBV carieer)に合併した直径10cmを越えるVp3のcombined hepatocellular and cholangiocarcinomaに対して, 温熱放射線療法を行った. 放射線治療は10MVのX線で, 1.5Gy/回, 2回/日, 週5回計45Gyの照射を行い, 温熱療法はThermotron RF-8で30cmの電極を用い, 50分/回で週2回, 合計5回行った. 2回目の温熱療法の時に超音波ガイド下に経皮経肝的に腫瘍を穿刺し, サーモセンサーを挿入して腫瘍内温度を計測した. 循環水には0.5%の食塩水を用い, 最高出力1650Wで腫瘍内温度は41.6℃であった. 温熱放射線療法後, 肝右葉に温熱放射線療法を行った部分の局所制御は良好であったが, 温熱放射線治療開始後5ヶ月後から急速に非照射肝に急速に再発腫瘍が出現, 増大した. 温熱放射線療法開始後7ヶ月後には, 前頭骨と肋骨に転移が出現し, 温熱放射線療法開始後11ヶ月後に肝不全で患者様は死亡された. 【結語】肝臓は, 血流が豊富で加温しにくい臓器であり, サーモトロンRF-8で1650Wという高出力を用いても, 加温は十分でなかった. しかし, 温熱放射線治療と動脈塞栓術の併用により門脈腫瘍塞栓を伴う症例でも, 局所の制御は十分に可能であると考えられた. |
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ISSN: | 0911-2529 |