下肢切断者におけるエネルギー代謝とATの経時的変化

「目的」義足歩行はエネルギー消費の観点からみると正常歩行と比べてその消費量は大きい. 目標である義足装着による移動能力の獲得と耐久性の向上の面から経時的測定を行い, 検討を加えた. 「対象」下肢切断例11名(男性7名, 女性4名, 平均年齢58.7±14.6歳). 股離断2名, 大腿切断8名, 下腿切断1名. 切断原因は外傷3名, AS03名, 糖尿病性1名, その他4名. 「方法」運動負荷テストを行い, 安静時および各負荷時の心拍数, 分時VO_2 , 分時VCO_2 から予測最大酸素消費量とAnaerobic Threshold(AT)を算出した. 運動負荷は, 速度を変えた歩行と反復起立...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; pp. 914 - 915
Main Authors 松元秀次, 浅山滉, 紫藤泰二, 木原薫, 田中達也, 上下智之, 赤城哲哉, 紫垣光久, 内田潤郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「目的」義足歩行はエネルギー消費の観点からみると正常歩行と比べてその消費量は大きい. 目標である義足装着による移動能力の獲得と耐久性の向上の面から経時的測定を行い, 検討を加えた. 「対象」下肢切断例11名(男性7名, 女性4名, 平均年齢58.7±14.6歳). 股離断2名, 大腿切断8名, 下腿切断1名. 切断原因は外傷3名, AS03名, 糖尿病性1名, その他4名. 「方法」運動負荷テストを行い, 安静時および各負荷時の心拍数, 分時VO_2 , 分時VCO_2 から予測最大酸素消費量とAnaerobic Threshold(AT)を算出した. 運動負荷は, 速度を変えた歩行と反復起立を2段階とダンベル(1.5~3.0kg)で行い, 時に応じて可能な負荷も加えた. また期間中はATに応じたexerciseを行った. 「結果」AT値の予測最大酸素消費との割合は切断早期では著しく小さいが, 訓練とともに増大する傾向があり, このことは運動安全域の拡大を意味すると考えられた. ATの経時的変化をみると, 切断後5~10ヵ月まで上昇し, その後ほぼ一定となった. また, 同じMetzの運動でBorg’s scaleが経時的に減少していることも解った. 「考察」AT値の経時的変化をみて平衡に達した時点が体力のピークであるかもしれないと考えられた. AT値の測定は下肢切断者におけるリハビリテーションによる耐久性向上の評価の指標として有用である.
ISSN:0034-351X