パーキンソン病入院患者の転帰についての検討

【目的】パーキンソン病患者の実態調査の一環として, パーキンソン病入院患者の転帰をその身体的側面や社会的側面から調査検討する. 【対象と方法】対象は昭和58年度~平成2年度までの7年間の入院患者で, リハビリテーション科に診療依頼のあったパーキンソン病患者73人である. 方法は入院カルテおよび手紙アンケートから年齢, 性別, 罹病期間, 入院期間, 重症度(Yahr stage), 同居者数, 主介護者, 住居, 経済状態などを調査した. 【結果と考察】1)Yahr stage IIIまではほとんどが在宅退院であったが, stage IVになると転院の割合が急増しており, Yahr stage...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; pp. 1006 - 1007
Main Authors 大仲功一, 小林充, 岡内章, 出倉庸子, 山口明, 北村純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1992
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】パーキンソン病患者の実態調査の一環として, パーキンソン病入院患者の転帰をその身体的側面や社会的側面から調査検討する. 【対象と方法】対象は昭和58年度~平成2年度までの7年間の入院患者で, リハビリテーション科に診療依頼のあったパーキンソン病患者73人である. 方法は入院カルテおよび手紙アンケートから年齢, 性別, 罹病期間, 入院期間, 重症度(Yahr stage), 同居者数, 主介護者, 住居, 経済状態などを調査した. 【結果と考察】1)Yahr stage IIIまではほとんどが在宅退院であったが, stage IVになると転院の割合が急増しており, Yahr stage IVが在宅復帰が困難になる障害レベルの指標の1つであると考えられた. このことはパーキンソン病患者のリハビリテーションのプログラミング上, 大きな判断材料になると考えられた. 2)Yahr stage IVの在宅退院群と転院群の比較検討では, 身体的側面では調査項目が不十分なこともあって両群の間に明らかな差が認められなかった. 社会的側面では, 身体障害者手帳をもっていない人や, 特定疾患の認定を受けていない人が在宅退院群に認められ, 在宅退院する患者に公的福祉サービスを十分に活用できていない人が多い可能性が示唆された.
ISSN:0034-351X