気管支壁に遠隔転移した直腸癌の1例
今回我々は直腸癌が局所再発するとともに気管支壁, 頭部へ遠隔転移した症例を経験したのでここに報告する. 症例は59歳男性. 1997年に直腸癌の手術の既往があった. 2001年2月初旬頃左下肢の軽度の脱力出現. 同年2月7日突然左半身けいれんが出現し, 近医に緊急入院し, 頭部CT・MRI上右頭頂葉にtumor lesionを認めた. 当院脳神経外科に入院し, 右頭頂葉のtumor lesionは多臓器からの遠隔転移が疑われ, γ-knifeによる治療が施行された. 同年4月下旬より発熱, 全身倦怠感が出現し, 胸部X線写真上右閉塞性肺炎の所見を認めた. 当科で気管支鏡施行し, 右主気管支腔内...
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Published in | 気管支学 Vol. 23; no. 7; p. 649 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
25.11.2001
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Summary: | 今回我々は直腸癌が局所再発するとともに気管支壁, 頭部へ遠隔転移した症例を経験したのでここに報告する. 症例は59歳男性. 1997年に直腸癌の手術の既往があった. 2001年2月初旬頃左下肢の軽度の脱力出現. 同年2月7日突然左半身けいれんが出現し, 近医に緊急入院し, 頭部CT・MRI上右頭頂葉にtumor lesionを認めた. 当院脳神経外科に入院し, 右頭頂葉のtumor lesionは多臓器からの遠隔転移が疑われ, γ-knifeによる治療が施行された. 同年4月下旬より発熱, 全身倦怠感が出現し, 胸部X線写真上右閉塞性肺炎の所見を認めた. 当科で気管支鏡施行し, 右主気管支腔内に膨隆した浸潤性病変を認め, 大腸ファイバーにて直腸癌の局所再発を認めた. 右主気管支腔内に膨隆した浸潤性病変の生検から直腸癌の遠隔転移と病理診断された. 治療として抗生剤投与, 放射線療法, 化学療法施行し, 右閉塞性肺炎は改善し, 右主気管支腔内に膨隆した浸潤性病変も縮小した. 気管支壁の遠隔転移部位の原発巣としては, 乳癌や腎癌も多いが直腸癌も少なくない. 気管支腔内に腫瘍性病変を認める場合, 直腸癌からの遠隔転移を考慮する必要があると考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 |