心不全を合併した,片側副腎過形成による原発性アルドステロン症の1症例

症例は68歳の男性. 43歳時に高血圧を指摘され, 薬物療法が開始された. 55歳時に低カリウム血症, 血漿アルドステロン高値ならびに131I-アドステロール副腎シンチグラムで両側に集積を認めたことから, 両側副腎過形成による特発性アルドステロン症の診断で内服治療を受けていた. 今回, 心嚢液を伴う右心不全を契機に当院入院となった. 血液検査では低カリウム血症, 血漿アルドステロン, 尿素窒素ならびに血清クレアチニン高値を認めた. 131I-アドステロール副腎シンチでは両側に集積を認め, 腹部CTでは左副腎腫大が観察された. 選択的副腎静脈サンプリングでは左副腎静脈における血漿アルドステロン高...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 4; pp. 289 - 294
Main Authors 木内信太郎, 臼井幹雄, 田村忍, 松岡治, 鷲見禎仁, 近森大志郎, 山科章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.04.2002
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ISSN0586-4488

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Summary:症例は68歳の男性. 43歳時に高血圧を指摘され, 薬物療法が開始された. 55歳時に低カリウム血症, 血漿アルドステロン高値ならびに131I-アドステロール副腎シンチグラムで両側に集積を認めたことから, 両側副腎過形成による特発性アルドステロン症の診断で内服治療を受けていた. 今回, 心嚢液を伴う右心不全を契機に当院入院となった. 血液検査では低カリウム血症, 血漿アルドステロン, 尿素窒素ならびに血清クレアチニン高値を認めた. 131I-アドステロール副腎シンチでは両側に集積を認め, 腹部CTでは左副腎腫大が観察された. 選択的副腎静脈サンプリングでは左副腎静脈における血漿アルドステロン高値を認めたため, 腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した. 摘出された左副腎の病理組織所見は副腎皮質過形成であり, 片側副腎過形成による原発性アルドステロン症と診断した. 原発性アルドステロン症における本病型の報告は少なく, 加えて, 心不全合併例もまれであり, 今回報告する.
ISSN:0586-4488