小児の術中心停止症例
昭和54年4月から昭和60年3月までの6年間に心臓大血管手術を含む6,952件の全身麻酔症例のうち34件の全身麻酔中に38回の心蘇生が行われた. ただし心臓外科手術中の人為的心停止からの心蘇生と開心術後人工心肺から離脱できず術中死した症例は除いた. 全体の心蘇生頻度は0.5%で従来の報告と比べ5~16倍と高かった. 科別の頻度では心臓外科が4.3%と高く, 脳外科0.6%, 泌尿器科0.1%であった. しかし心臓外科症例を除くと0.06%で従来の報告と同様な頻度だった. 心蘇生がもっとも多く行われたのは手術開始後30分以内で21%, 次いで人工心肺終了後30分以内が13%, 麻酔開始後30分以...
Saved in:
Published in | 蘇生 Vol. 4; pp. 91 - 92 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.03.1986
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0288-4348 |
Cover
Summary: | 昭和54年4月から昭和60年3月までの6年間に心臓大血管手術を含む6,952件の全身麻酔症例のうち34件の全身麻酔中に38回の心蘇生が行われた. ただし心臓外科手術中の人為的心停止からの心蘇生と開心術後人工心肺から離脱できず術中死した症例は除いた. 全体の心蘇生頻度は0.5%で従来の報告と比べ5~16倍と高かった. 科別の頻度では心臓外科が4.3%と高く, 脳外科0.6%, 泌尿器科0.1%であった. しかし心臓外科症例を除くと0.06%で従来の報告と同様な頻度だった. 心蘇生がもっとも多く行われたのは手術開始後30分以内で21%, 次いで人工心肺終了後30分以内が13%, 麻酔開始後30分以内が11%と続いた. 心蘇生をすることになった原因を一つに特定することは困難であったがあえてもっとも可能性の高いものを選び, 1例に一つの原因とした. もっとも多い原因は大量出血で29%を占めた. 次いで開心術後LOSが18%, 不整脈が16%, 浅麻酔+低体温が13%と続き, さらに手術適応に関しては問題の残る点ではあるが入室時ほとんど心停止していたものが8%と続いた. 今回, 麻酔, 手術中に行われた心蘇生の成功を術後24時間以上生存としたが, 全体の心蘇生率は65%で, 蘇生不能で術中死亡した例が21%で残り14%は術後24時間以内に死亡した. 大量出血例とそれ以外との蘇生率を比較したところ大量出血例のほうがよかった. 新生児における心蘇生は7回の全身麻酔中に8回行われ, その頻度は2.1%で新生児以外の0.4%に比べ5倍と高かった. その反面蘇生率は14%と低く新生児以外の蘇生率78%に比べると1/5以下であった. しかしそのような結果がでたのも7例のうち5例が心臓大血管手術症例であり, 新生児に対する心臓大血管手術の麻酔管理の困難さを痛感した. |
---|---|
ISSN: | 0288-4348 |