長期透析患者の手根管症候群の治療成績

我々は透析患者における手根管症候群の疾学調査や手術成績について本学会等で報告し, 早期手術の必要性, 有効性について述べてきた. その後の経過観察により, 早期手術にも拘らず数手の再発例を経験したので報告する. 対象は全て手術例で31例53手, 男15女16例であった. 手術までの透析歴は平均12.8年であった. 浜田の病期分類ではgrade I 22手, II 23手, III 9手であった. 手術成績を1990年に我々が発表した基準で評価すると優24手, 良17手, 不8手で再発を4手に認めた. 屈筋腱滑膜の病理検査を行った38手中24手(63%)にアミロイドの沈着を認めた. 筋電図所見(...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; p. 642
Main Authors 吉原由樹, 長谷芳文, 角光宏, 岩崎勝郎, 今村宏太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1996
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ISSN0037-1033

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Summary:我々は透析患者における手根管症候群の疾学調査や手術成績について本学会等で報告し, 早期手術の必要性, 有効性について述べてきた. その後の経過観察により, 早期手術にも拘らず数手の再発例を経験したので報告する. 対象は全て手術例で31例53手, 男15女16例であった. 手術までの透析歴は平均12.8年であった. 浜田の病期分類ではgrade I 22手, II 23手, III 9手であった. 手術成績を1990年に我々が発表した基準で評価すると優24手, 良17手, 不8手で再発を4手に認めた. 屈筋腱滑膜の病理検査を行った38手中24手(63%)にアミロイドの沈着を認めた. 筋電図所見(EMG)と病期には関連がなかった. 成績前の群で前腕部でのMCVが低下していた. 再発手のEMG(TL, MCV)は他の群と有意差はなく, 術前にEMGから再発を予想することは困難であると考えられた. 再発を防ぐために透析方法などの再検討が急務である.
ISSN:0037-1033