寛骨臼回転骨切り術におけるポリ-L-乳酸性螺子の後療法に及ぼす影響

近年, 手術後抜去する必要のない吸収性骨接合材料が開発され, 臨床の場でも応用されつつある. 私達は寛骨臼回転骨切り術の骨切り部分の固定に従来はKirschner鋼線(以下, K固定)を使用していたが, 術後5~6週で抜釘を必要としたため, 吸収性骨接合材料の一種であるポリ-L-乳酸性螺子(以下, PLLA螺子)が発売されてからは, このPLLA螺子による固定を行ってきた. PLLA螺子固定(以下, P固定)症例の内訳は変形性股関節症の20例20関節で全例女性である. これに性差, 年齢, 病期のほぼ類似したK固定の20例をその対象として抽出し比較検討した. 手術時年齢はP固定で23~48歳,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 1013
Main Authors 安藤謙一, 山路哲生, 蜂谷裕道, 鵜飼高弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:近年, 手術後抜去する必要のない吸収性骨接合材料が開発され, 臨床の場でも応用されつつある. 私達は寛骨臼回転骨切り術の骨切り部分の固定に従来はKirschner鋼線(以下, K固定)を使用していたが, 術後5~6週で抜釘を必要としたため, 吸収性骨接合材料の一種であるポリ-L-乳酸性螺子(以下, PLLA螺子)が発売されてからは, このPLLA螺子による固定を行ってきた. PLLA螺子固定(以下, P固定)症例の内訳は変形性股関節症の20例20関節で全例女性である. これに性差, 年齢, 病期のほぼ類似したK固定の20例をその対象として抽出し比較検討した. 手術時年齢はP固定で23~48歳, 平均32歳, K固定で20~49歳, 平均33歳であった. 手術時の変形性股関節症の程度はP固定で前期6例, 初期10例, 進行期4例で, K固定は前期6例, 初期11例, 進行期3例であった. 後療法は術後3日目よりCPMおよび四頭筋訓練を開始し, 股関節の屈曲角度が90°を越えた10日から14日で車椅子を許可した. この間は両者で後療法の進み方に概ね差異はなかったが, K固定でやや屈曲角度の獲得が遅れる傾向にあった. 荷重開始時期はP固定では術後37.2日, K固定では鋼線抜去のため術後50.6日となり, 約2週間P固定が早まった. 入院期間はP固定で58.1日, K固定で72.8日であり, 約2週間退院がP固定で早くなっていた.
ISSN:0034-351X