ハイリスク供血者におけるGOR抗体陽性率に関する検討

【目的】C100-3抗体陽性者, S-GPT高値者, 輸血既往歴をもつ供血者, 肝炎既往歴のある供血者は輸血後非A非B型肝炎の原因となるリスクの高い供血者であることが知られている. 今回, 我々はこれらの供血者を対象として, HCV関連マーカーであるGOR抗体を測定し, C100-3抗体の検出結果と対比して検討を行ったので, 報告する. 【対象と方法】C100-3抗体陽性の供血者400例, S-GPT高値(50KU以上)を示す供血者500例, 輸血の既往を有する供血者250例, 肝炎の既往を有する供血者108例を対象とした. GOR抗体は特殊免疫研究所製のGORペプタイドを用い, EIA法にて...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 2; p. 331
Main Authors 青山憲一, 加藤和彦, 山内智己, 林律子, 高橋和明, 大掘兼男, 吉澤浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1991
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】C100-3抗体陽性者, S-GPT高値者, 輸血既往歴をもつ供血者, 肝炎既往歴のある供血者は輸血後非A非B型肝炎の原因となるリスクの高い供血者であることが知られている. 今回, 我々はこれらの供血者を対象として, HCV関連マーカーであるGOR抗体を測定し, C100-3抗体の検出結果と対比して検討を行ったので, 報告する. 【対象と方法】C100-3抗体陽性の供血者400例, S-GPT高値(50KU以上)を示す供血者500例, 輸血の既往を有する供血者250例, 肝炎の既往を有する供血者108例を対象とした. GOR抗体は特殊免疫研究所製のGORペプタイドを用い, EIA法にて測定した. 【結果】C100-3抗体陽性の供血者400例中, GOR抗体陽性者は135例(33.8%)であった. S-GPT高値を示す供血者500例中, C100-3抗体陽性者は45例(9.0%)に対し, GOR抗体陽性者は36例(7.2%)であった. 輸血の既往を有する供血者250例中, Cl00-3抗体陽性者は16例(6.4%)に対し, GOR抗体陽性者は12例(4.8%)であった. 肝炎の既往を有する供血者108例中, C100-3抗体陽性者は3例(2.7%)に対し, GOR抗体陽性者は1例(0.9%)であった. 【結論】ハイリスク供血者において, GOR抗体の測定をし, C100-3抗体測定結果との比較を行った. C100-3抗体陽性群において, GOR抗体陽性率は34%, 陰性率は66%であった. 陰性例はC100-3抗体OD値1.0以下の値を示す群に多いという特徴が認められた. また, S-GPT高値を示す供血者, 輸血の既往を有する供血者にも, GOR抗体陽性は高率に認められたが, 肝炎の既往を有する供血者では一般供血者背景と同等の陽性率であった.
ISSN:0546-1448