マイルド・ハイパーサーミアによる血流増加に伴なう制癌剤の効果増強

【目的】一般的に温熱治療は42.5℃以上の高温度で悪性腫瘍に対して施行され, 有用性が認められているが, 本研究は41℃の低温度でも血流増加に伴なう制癌剤の腫瘍部への取り込みが増加し, 制癌剤の効果が増強する事を確認したので, その結果を報告する. 【材料及び方法】SCC-VII腫瘍を大腿部皮下に担癌したC3Hマウスを無処理群, シスプラチン(7.6mg/kg)腹腔投与単独群, 41℃, 30分加温単独群, シスプラチン投与20分後の温熱処理併用群について, 各群の抗腫瘍効果, 組織内薬剤濃度, 組織学的変化等に付いて調べた. 【結果】温熱単独群と無処理群間には抗腫瘍効果の相違は見られなかった...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 19; no. 4; p. 220
Main Authors 長谷川武夫, 小野博史, 高橋徹, 大野由紀子, 鈴木友昭, 村林甲介, 前田佳予子, 門前一, 山本五郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 01.12.2003
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Summary:【目的】一般的に温熱治療は42.5℃以上の高温度で悪性腫瘍に対して施行され, 有用性が認められているが, 本研究は41℃の低温度でも血流増加に伴なう制癌剤の腫瘍部への取り込みが増加し, 制癌剤の効果が増強する事を確認したので, その結果を報告する. 【材料及び方法】SCC-VII腫瘍を大腿部皮下に担癌したC3Hマウスを無処理群, シスプラチン(7.6mg/kg)腹腔投与単独群, 41℃, 30分加温単独群, シスプラチン投与20分後の温熱処理併用群について, 各群の抗腫瘍効果, 組織内薬剤濃度, 組織学的変化等に付いて調べた. 【結果】温熱単独群と無処理群間には抗腫瘍効果の相違は見られなかった. 薬剤単独処理では僅かな抗腫瘍効果が観測されたが, 薬剤と温熱処理併用によって薬剤の抗腫瘍効果は増強された. 組織内薬剤濃度は無処理群に比較して, マイルド, ハイパーサーミア処理によって3~4倍の取り込み増加が発生した. アポトーシス抗体による組織染色でも温熱単独ではアポトーシスは無処理群と大差を示さないが, 薬剤と温熱処理の併用によってその発生量は増加し, 抗腫瘍効果にアポトーシスが関与する事が示唆され, マイルド, ハイパーサーミア処理時に血流の増加が観測された事から, この血流増加が組織内薬剤に関与する事が示唆された. これらの結果は, 悪性腫瘍の化学療法にマイルドハイパーサーミアの併用が有効である事を示している.
ISSN:0911-2529
1881-9516