専門リハビリテーションにおけるSSRI製剤の使用上の意義と問題点について

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI:フルボキサミン)は, うつ病や強迫性障害以外に最近の報告では, 脳血管性うつ状態や慢性疼痛の治療に効果のあることが報告されている. 今回我々は, 脳血管障害や頭部外傷後遺症の患者で意欲低下などうつ症状が認められた9例に, フルボキサミンの少量(50mg/day)投与を試み, 5例(56%)に軽度以上の改善を認めた. 残りの2例は不変, その他の2例中1例はけいれん発作出現のため, もう1例はセロトニン症候群を併発し投与を中止した. 中止の2例とも失語症を認め, 麻痺の程度も強く, 介護量も多く, また体力的にも劣っている症例で, このような症例にはた...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 2; p. 141
Main Authors 大井清文, 高橋明, 柏木一成, 立木光, 吉田知史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2001
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Summary:選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI:フルボキサミン)は, うつ病や強迫性障害以外に最近の報告では, 脳血管性うつ状態や慢性疼痛の治療に効果のあることが報告されている. 今回我々は, 脳血管障害や頭部外傷後遺症の患者で意欲低下などうつ症状が認められた9例に, フルボキサミンの少量(50mg/day)投与を試み, 5例(56%)に軽度以上の改善を認めた. 残りの2例は不変, その他の2例中1例はけいれん発作出現のため, もう1例はセロトニン症候群を併発し投与を中止した. 中止の2例とも失語症を認め, 麻痺の程度も強く, 介護量も多く, また体力的にも劣っている症例で, このような症例にはたとえ少量であっても本剤投与は慎重になるべきと判断された.
ISSN:0034-351X