アテトーゼ型脳性麻痺に伴う頸椎症性脊髄神経根症に対する手術成績と移動能力

「目的」アテトーゼ型脳性麻痺に伴う頸椎症性脊髄神経根症に対する外科治療に際し我々は頸椎のmalalignmentの是正, 安定性の獲得および確実な除圧が治療上重要と考え, 1983年以来一貫して前方後方固定術を内固定材を用いて行ってきた. 今回は本手術の成績とADL上の変化を調査した. 「対象・方法」1997年までに前方後方固定術を行った35例中1年以上追跡しえた33例(男性27, 女性6)を対象とした. 手術時年齢は平均45.2歳(19~66), 追跡期間は平均5.7年(1~15.5)であった. 調査項目は日整会頸髄症判定スコア(JOAスコア17(-2)点法)と移動能力(独歩, 介助歩行,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 942
Main Authors 大成克弘, 蜂谷將史, 近藤総一, 山田勝久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」アテトーゼ型脳性麻痺に伴う頸椎症性脊髄神経根症に対する外科治療に際し我々は頸椎のmalalignmentの是正, 安定性の獲得および確実な除圧が治療上重要と考え, 1983年以来一貫して前方後方固定術を内固定材を用いて行ってきた. 今回は本手術の成績とADL上の変化を調査した. 「対象・方法」1997年までに前方後方固定術を行った35例中1年以上追跡しえた33例(男性27, 女性6)を対象とした. 手術時年齢は平均45.2歳(19~66), 追跡期間は平均5.7年(1~15.5)であった. 調査項目は日整会頸髄症判定スコア(JOAスコア17(-2)点法)と移動能力(独歩, 介助歩行, 車椅子, 寝たきりの4段階で評価)および上肢の疼痛(Denisのpain scale), 上肢三角筋筋力(MMT), さらにADL自立度(安藤ら)の推移を臨床的に調査した. 「結果」1)JOAスコアは術前平均6.1点, 術後1年9.6点, 調査時9.4点であり改善率はそれぞれ32.1%, 30.3%であった. 2)移動能力は脊髄症発症前では独歩可能が23例であったが術前では5例に減少した. 術後は独歩28例中18例で移動能力の改善を認めたが調査時までに腰椎疾患や内科疾患などにより3例で歩行能力が低下した. 3)三角筋筋力低下18例中14例で1~2段階の改善を認め調査時まで改善が維持されていた. 上肢痛は14例中13例で1~3段階の改善を認めたが調査時までに2例が再悪化した. 4)移動能力と食事動作の組合せによるADL自立度は33例中24例で改善を認めた.
ISSN:0034-351X